VT治療におけるHMの役割―持続性心室頻拍の長期管理における長時間心電図の役割
持続性心室頻拍 (VT) の長期管理におけるホルター心電図 (HM) の有用性を治療選択と予後の面から電気生理検査 (EPS) と比較して検討した. 対象は当科で経験した166例の単形性持続性VT症例のうち, EPSと48時間以上のHMを施行された120例で, 男性90例, 女性30例で, 年齢は51±17歳である.EPS上VTは90/120例で誘発され, EPS判定上の有効治療群 (55例) , 無効治療群 (35例) , 判定不能群 (30例) の3群間でVT再発率を比較した.HM上ESVEM基準 (心室性期外収縮 (VPC) >平均10拍/時間) を満たす症例は98/120例であり...
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Published in | 心電図 Vol. 17; no. 3; pp. 258 - 266 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本不整脈心電学会
1997
日本心電学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0285-1660 1884-2437 |
DOI | 10.5105/jse.17.258 |
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Summary: | 持続性心室頻拍 (VT) の長期管理におけるホルター心電図 (HM) の有用性を治療選択と予後の面から電気生理検査 (EPS) と比較して検討した. 対象は当科で経験した166例の単形性持続性VT症例のうち, EPSと48時間以上のHMを施行された120例で, 男性90例, 女性30例で, 年齢は51±17歳である.EPS上VTは90/120例で誘発され, EPS判定上の有効治療群 (55例) , 無効治療群 (35例) , 判定不能群 (30例) の3群間でVT再発率を比較した.HM上ESVEM基準 (心室性期外収縮 (VPC) >平均10拍/時間) を満たす症例は98/120例であり, 治療によって70%以上のVPOが抑制された場合にその治療を有効と判定し, 有効治療群 (40例) , 無効治療群 (58例) , 判定不能群 (22例) の3群間でVT再発率を比較した.また, EPS上有効治療の見出せなかった65例においてもHM結果別のVT再発率を比較した.統計的検討はKaplan-Meier曲線上, Wilcoxon法で行い, p<0.05を有意とした. 平均31±26ヵ月の経過観察期間中, VTの再発は36/120例に認められた.VTの再発はEPSによる判定上の有効群で7/55例 (13%) , 無効群で24/35例 (69%) , 判定不能群で5/30例 (17%) に認められ, 各群間に有意差を認めた (p=0.0001) .HM判定上の有効群では6/40例 (15%) , 無効群で23/58例 (40%) , 判定不能群で7/22例 (32%) でVTの再発を認め, 無効群でVT再発率が高い傾向を認めるのみであったが (p=0.2401) , EPS上の有効判定群を除く65例中でのみ検討するとHM上の有効群のVT再発率が有意に低かった (p=0.0360) . 単形性持続性VTにおいて, EPS上の有効治療は有意にVT再発を抑制した.EPS上有効治療のなかった症例において, HM上の有効治療は有意にVT再発を抑制しており, HM上の治療効果判定はEPS上効果判定の困難な症例において有用であると考えられた. |
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ISSN: | 0285-1660 1884-2437 |
DOI: | 10.5105/jse.17.258 |