切除不能stage IV大腸癌における原発巣切除例の検討

当科における切除不能stage IV大腸癌の原発巣切除例の予後因子を検討した.2000年から2010年までの大腸癌stage IV症例で原発巣切除を行い,根治度Cであった177例を対象とした.単変量解析では血清CEA値が5.0ng/ml以上,H2以上の肝転移症例,遠隔転移因子数が2個以上,静脈侵襲あり,分子標的薬の未使用例が有意に予後不良であった.これらの因子で多変量解析を行うとH2以上の肝転移症例,遠隔転移因子数が2個以上の症例,分子標的薬未使用が独立予後不良因子となった.また肝転移がH2以上とH1以下の症例で層別化すると,分子標的薬の有無においてH1以下の症例では生存率に有意差を認めなかっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 66; no. 8; pp. 585 - 590
Main Authors 片山, 雄介, 利野, 靖, 樋口, 晃生, 五代, 天偉, 沼田, 幸司, 益田, 宗孝, 塩澤, 学, 澤崎, 翔, 赤池, 信, 沼田, 正勝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.66.585

Cover

More Information
Summary:当科における切除不能stage IV大腸癌の原発巣切除例の予後因子を検討した.2000年から2010年までの大腸癌stage IV症例で原発巣切除を行い,根治度Cであった177例を対象とした.単変量解析では血清CEA値が5.0ng/ml以上,H2以上の肝転移症例,遠隔転移因子数が2個以上,静脈侵襲あり,分子標的薬の未使用例が有意に予後不良であった.これらの因子で多変量解析を行うとH2以上の肝転移症例,遠隔転移因子数が2個以上の症例,分子標的薬未使用が独立予後不良因子となった.また肝転移がH2以上とH1以下の症例で層別化すると,分子標的薬の有無においてH1以下の症例では生存率に有意差を認めなかったが,H2以上の症例では分子標的薬の使用で有意に生存期間の延長を認めた.切除不能stage IV大腸癌において,進行した肝転移を持つ症例では原発巣切除を行うより,まず分子標的薬を含めた積極的な化学療法を導入するのが望ましい可能性が示唆された.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.66.585