HIV感染に合併した劇症型アメーバ性赤痢による直腸穿孔の1例
症例は76歳,男性.自宅内で倒れているのを発見され救急搬送.意識障害を認め腹部CT検査にて消化管穿孔と診断された.採血上,Human immunodeficiency virus(以下,HIV)抗体陽性にて当科転院搬送となった.腹部CTではS状結腸から直腸に腸管外遊離ガス像を認め,腹水を認めた.下部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.上部直腸に穿孔あり,切除後にS状結腸で単孔式人工肛門を造設した.標本では辺縁不整な潰瘍が不規則地図上に癒合し一部穿孔を伴っていた.病理所見では潰瘍部中心にアメーバ栄養体を多数認めた.採血にて赤痢アメーバ抗体が3,200倍と高値であり,アメーバ性赤痢による直腸穿孔...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 238 - 242 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2017
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.70.238 |
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Summary: | 症例は76歳,男性.自宅内で倒れているのを発見され救急搬送.意識障害を認め腹部CT検査にて消化管穿孔と診断された.採血上,Human immunodeficiency virus(以下,HIV)抗体陽性にて当科転院搬送となった.腹部CTではS状結腸から直腸に腸管外遊離ガス像を認め,腹水を認めた.下部消化管穿孔の診断で緊急手術を施行した.上部直腸に穿孔あり,切除後にS状結腸で単孔式人工肛門を造設した.標本では辺縁不整な潰瘍が不規則地図上に癒合し一部穿孔を伴っていた.病理所見では潰瘍部中心にアメーバ栄養体を多数認めた.採血にて赤痢アメーバ抗体が3,200倍と高値であり,アメーバ性赤痢による直腸穿孔と診断した.HIV未治療にて早急に抗HIV薬およびメトロニダゾールを開始するも第13病日に死亡した.穿孔性腹膜炎を伴う劇症型アメーバ性大腸炎は予後不良であり免疫不全患者においてはさらに救命率が低下する. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.70.238 |