憩室炎による結腸膀胱瘻症例の臨床的検討
1993年から2012年までの20年間に当科で経験した,憩室炎に起因する結腸膀胱瘻9例を臨床的に検討した.平均年齢は64.7歳,男性8例女性1例であった.術前検査で瘻孔を確認できたのは4例(44%)であったが,全例で術前に憩室炎による結腸膀胱瘻と診断できた.1例で保存的治療を選択し,一時的に瘻孔の閉鎖を得られたが,その後結腸膀胱瘻が再燃したため手術を施行した.憩室炎による結腸の狭窄のため,結腸膀胱瘻の自然閉鎖は難しく,結腸膀胱瘻の根治には手術が必要であると思われた.術式は全例で結腸切除を施行し,5例で膀胱部分切除を併施した.4例で膀胱側の処置は行わなかったが,術後経過は良好であった.手術所見お...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 7; pp. 442 - 447 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2014
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Subjects | |
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Summary: | 1993年から2012年までの20年間に当科で経験した,憩室炎に起因する結腸膀胱瘻9例を臨床的に検討した.平均年齢は64.7歳,男性8例女性1例であった.術前検査で瘻孔を確認できたのは4例(44%)であったが,全例で術前に憩室炎による結腸膀胱瘻と診断できた.1例で保存的治療を選択し,一時的に瘻孔の閉鎖を得られたが,その後結腸膀胱瘻が再燃したため手術を施行した.憩室炎による結腸の狭窄のため,結腸膀胱瘻の自然閉鎖は難しく,結腸膀胱瘻の根治には手術が必要であると思われた.術式は全例で結腸切除を施行し,5例で膀胱部分切除を併施した.4例で膀胱側の処置は行わなかったが,術後経過は良好であった.手術所見および病理学的所見で,結腸側の瘻孔は7例(78%)で認められ,膀胱側の瘻孔は8例(89%)で閉鎖していたことから,結腸切除は必要であるが,膀胱部分切除は不要なことが多いと思われた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.67.442 |