直腸GISTに対して術前化学療法後に腹腔鏡下超低位前方切除・膣後壁合併切除を施行した1例

患者は43歳女性.直腸前壁に4cm大のGISTを認めた.画像上,腫瘍は膣と近接しており,膣後壁への浸潤を否定しきれなかった.肛門温存は可能であったが,腫瘍を縮小させ,より確実な温存を行うため,メシル酸イマチニブを術前に投与.44日目で副作用により投与中止となったが,投与後の画像では腫瘍の縮小(45mm→38mm)を認めた.膣後壁への明らかな浸潤もなく,肛門温存もより確実と判断し,手術の方針となった.腹腔鏡下に直腸を骨盤底まで充分に剥離.肛門管内は内肛門括約筋を温存しつつ剥離を行った.肛門側より内肛門括約筋を温存しつつ,腹腔内からの剥離と交通させた.直腸前壁の腫瘍を露出しないように膣後壁の一部を...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 3; pp. 164 - 169
Main Authors 富沢, 賢治, 的場, 周一郎, 戸田, 重夫, 建, 智博, 黒柳, 洋弥, 花岡, 裕
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.164

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Summary:患者は43歳女性.直腸前壁に4cm大のGISTを認めた.画像上,腫瘍は膣と近接しており,膣後壁への浸潤を否定しきれなかった.肛門温存は可能であったが,腫瘍を縮小させ,より確実な温存を行うため,メシル酸イマチニブを術前に投与.44日目で副作用により投与中止となったが,投与後の画像では腫瘍の縮小(45mm→38mm)を認めた.膣後壁への明らかな浸潤もなく,肛門温存もより確実と判断し,手術の方針となった.腹腔鏡下に直腸を骨盤底まで充分に剥離.肛門管内は内肛門括約筋を温存しつつ剥離を行った.肛門側より内肛門括約筋を温存しつつ,腹腔内からの剥離と交通させた.直腸前壁の腫瘍を露出しないように膣後壁の一部を合併切除した.膣後壁は経膣的に縫合閉鎖.再建は経肛門的に結腸肛門吻合を行った.直腸GISTに対して術前のメシル酸イマチニブ投与と腹腔鏡の手術は,肛門温存をより安全で正確に行えると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.164