狭窄性裂肛に対する皮膚弁移動術の長期術後成績の検討

目的:狭窄性裂肛に対するSliding skin graft(以下SSGと略す)後の長期成績を調査することを目的とした.方法:SSG後,5年経過した141例,10年経過した75例に対してアンケート調査を行い,同時に一部,肛門内圧検査を行い健常例との比較を行った.結果:狭窄性裂肛に対するSSGは術後10年経過後も満足度は男女共に94%以上あり,再発率は男性2.6%,女性5.9%あったが,排便管理にて全例改善した.肛門機能,特に肛門管最大静止圧は低下するものの,健常例の低下率と比較して有意な差は認められなかった.また,ガス失禁,便失禁などの症状も許容範囲内であった.結論:長期的にみて再発率の少ない...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 8; pp. 375 - 383
Main Authors 渡辺, 英生, 渡辺, 学, 鉾石, 文彦, 小野, 芳人, 串畑, 史樹, 竹田, 正範, 松本, 欣也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2020
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.73.375

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Summary:目的:狭窄性裂肛に対するSliding skin graft(以下SSGと略す)後の長期成績を調査することを目的とした.方法:SSG後,5年経過した141例,10年経過した75例に対してアンケート調査を行い,同時に一部,肛門内圧検査を行い健常例との比較を行った.結果:狭窄性裂肛に対するSSGは術後10年経過後も満足度は男女共に94%以上あり,再発率は男性2.6%,女性5.9%あったが,排便管理にて全例改善した.肛門機能,特に肛門管最大静止圧は低下するものの,健常例の低下率と比較して有意な差は認められなかった.また,ガス失禁,便失禁などの症状も許容範囲内であった.結論:長期的にみて再発率の少ない,肛門内圧も健常例の変動とほぼ同等であり,術後愁訴の少ない有用な術式と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.73.375