ALTA施行後,遷延性の全周性直腸潰瘍から高度の直腸狭窄をきたし,頻回のバルーン拡張術が有用であった1例

症例は53歳,男性.前医で内痔核に対してALTAによる四段階注射療法を施行した3週後に頻便および粘血便が出現した.下部消化管内視鏡検査では直腸下部歯状線直上のびらん.潰瘍と,直腸S状部までの不整形潰瘍の多発を認めた.下部直腸のびらん・潰瘍は比較的早期に治癒したが,上部直腸から直腸S状部にかけての全周性の深掘れ潰瘍は遷延し,潰瘍の口側および肛門側に高度の狭窄をきたし,頻便,排便困難となった.直腸AV7cmから長軸5cmにわたる全周性潰瘍は保存的に徐々に治癒傾向となったが,潰瘍の縮小とともに潰瘍の両端に高度狭窄を認めた.狭窄に対し約1年,計13回のバルーン拡張術を施行後,潰瘍は治癒し,症状も軽快し...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 8; pp. 542 - 548
Main Authors 小泉, 浩一, 桑田, 剛, 山本, 哲久, 大塚, 新一, 久保田, 至, 渡海, 義隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2014
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.67.542

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Summary:症例は53歳,男性.前医で内痔核に対してALTAによる四段階注射療法を施行した3週後に頻便および粘血便が出現した.下部消化管内視鏡検査では直腸下部歯状線直上のびらん.潰瘍と,直腸S状部までの不整形潰瘍の多発を認めた.下部直腸のびらん・潰瘍は比較的早期に治癒したが,上部直腸から直腸S状部にかけての全周性の深掘れ潰瘍は遷延し,潰瘍の口側および肛門側に高度の狭窄をきたし,頻便,排便困難となった.直腸AV7cmから長軸5cmにわたる全周性潰瘍は保存的に徐々に治癒傾向となったが,潰瘍の縮小とともに潰瘍の両端に高度狭窄を認めた.狭窄に対し約1年,計13回のバルーン拡張術を施行後,潰瘍は治癒し,症状も軽快した.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.67.542