合成ペプタイドを抗原として使用したHIV-1, HIV-2抗体同時測定法の臨床的評価およびHIV-1, HIV-2測定の交差反応について

後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスとしてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が知られている. HIVは性交渉や母子感染, 輸血などによって感染することが知られており, 主に1型と2型に分けられている. 現在世界各地で流行しているのは, 1981年に発見されたHIV-1と呼ばれているものであり, 血中抗体測定法としてスクリーニング検査はゼラチン粒子凝集(PA)法1), および酵素抗体(EIA)法2), 確認検査はウェスタンブロッティング(WB)法等3)4)の方法が確立され, 実施されている. 一方, HIV-2は, 1986年に発見され西アフリカでの陽性率が高い5). HIV-1に比較する...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 738 - 744
Main Authors 池淵, 研二, 浅野, 茂隆, 真鍋, 幸子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1993
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.39.738

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Summary:後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスとしてヒト免疫不全ウイルス(HIV)が知られている. HIVは性交渉や母子感染, 輸血などによって感染することが知られており, 主に1型と2型に分けられている. 現在世界各地で流行しているのは, 1981年に発見されたHIV-1と呼ばれているものであり, 血中抗体測定法としてスクリーニング検査はゼラチン粒子凝集(PA)法1), および酵素抗体(EIA)法2), 確認検査はウェスタンブロッティング(WB)法等3)4)の方法が確立され, 実施されている. 一方, HIV-2は, 1986年に発見され西アフリカでの陽性率が高い5). HIV-1に比較すると潜伏期間が長く, プロウイルスDNAのアミノ酸配列も異なっており, むしろサルの免疫不全ウイルスであるSIVと類似していると言われていた. だが, 最近の研究では発生学的にみて, HIV-1に一番近いのはチンパンジーのSIV_cpz で, HIV-2に一番近いのはスーテイマンガベイのSIV_sm ということがわかってきたが, HIVとの関係については不明である6). 一般に, HIV-2はHIV-1よりも病原性や発症率が低いと言われているが明確ではない. HIV-2の感染は, アフリカ大陸(主に西アフリカ)の一定の地域に限られていたが, 最近になってヨーロッパの一部およびアメリカでごく少数であるが報告があった7)8). わが国では, HIV-1の感染は異性間交渉を中心に増加傾向にあり, HIV-2感染もやがて検出され増加するものと思われる. ところで, HIV抗体のスクリーニング検査は, 輸血後感染9)を防ぐ意味でも大きな意義を持っている. 実際に, 輸血によるHIV感染は保因者のスクリーニング検査を始めてから激減している.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.39.738