ステロイド薬に対する抗体を検出した3症例とその臨床的意義について

緒言 ステロイド薬(以下St薬)は強力な抗アレルギー・免疫抑制作用のために膠原病などの自己免疫性疾患や, またリンパ腫や白血病などの各種疾患の治療薬としてよく使用される. しかし, このようなSt薬による薬物アレルギーの報告例は少ない. これは本当に少ないのか, あるいは“まさかSt薬で”という油断のために看過されているためなのかもしれない. 最近このようなSt薬に対して産生されたと考えられる抗St薬抗体あるいは抗体様物質(以下St抗体とする)の検出例が本邦で4例ほど報告されている1)~4). われわれも, 輸血前の抗体スクリーニング検査時に, 悪性リンパ腫の1例でSt抗体を検出したので, さ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 33; no. 6; pp. 722 - 727
Main Authors 須藤, 妙子, 大久保, 進, 石田, 萌子, 安永, 幸二郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1987
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.33.722

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Summary:緒言 ステロイド薬(以下St薬)は強力な抗アレルギー・免疫抑制作用のために膠原病などの自己免疫性疾患や, またリンパ腫や白血病などの各種疾患の治療薬としてよく使用される. しかし, このようなSt薬による薬物アレルギーの報告例は少ない. これは本当に少ないのか, あるいは“まさかSt薬で”という油断のために看過されているためなのかもしれない. 最近このようなSt薬に対して産生されたと考えられる抗St薬抗体あるいは抗体様物質(以下St抗体とする)の検出例が本邦で4例ほど報告されている1)~4). われわれも, 輸血前の抗体スクリーニング検査時に, 悪性リンパ腫の1例でSt抗体を検出したので, さらにSt薬が頻用される膠原病の44症例についてSt抗体の有無をスクリーニングしたところ, その内の2例でSt抗体が検出された. そこで, この3症例について, とくにSt抗体の性状とその臨床的意義を中心に報告する.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.33.722