魚骨によるS状結腸穿孔に対し内視鏡的魚骨除去により保存的に治療し得た1例

魚骨による消化管穿孔は本邦の異物穿孔の中で最多で,下部消化管穿孔の場合,手術となることが多い.今回われわれは内視鏡治療を併用し保存的に治療した魚骨によるS状結腸穿孔を経験したので報告する.症例は85歳,女性.主訴は腹痛.既往の重症筋無力症でステロイドを長期間内服していた.CT上腸管壁を貫く異物とfree airを認め,魚骨によるS状結腸穿孔と診断.腹膜刺激症状や腹水,free airが限局し,また既往より手術リスクが大きいと判断し,絶飲食とし抗生剤投与を行った.症状と炎症反応は改善したが,CTで魚骨は残存し入院32日目に内視鏡で除去した.処置後再増悪なく39日目に退院した.魚骨による腸管穿孔を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 2; pp. 104 - 109
Main Authors 國場, 幸均, 真船, 太一, 堀越, 邦康, 大坪, 毅人, 小倉, 佑太, 岸, 龍一, 大島, 隆一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.104

Cover

More Information
Summary:魚骨による消化管穿孔は本邦の異物穿孔の中で最多で,下部消化管穿孔の場合,手術となることが多い.今回われわれは内視鏡治療を併用し保存的に治療した魚骨によるS状結腸穿孔を経験したので報告する.症例は85歳,女性.主訴は腹痛.既往の重症筋無力症でステロイドを長期間内服していた.CT上腸管壁を貫く異物とfree airを認め,魚骨によるS状結腸穿孔と診断.腹膜刺激症状や腹水,free airが限局し,また既往より手術リスクが大きいと判断し,絶飲食とし抗生剤投与を行った.症状と炎症反応は改善したが,CTで魚骨は残存し入院32日目に内視鏡で除去した.処置後再増悪なく39日目に退院した.魚骨による腸管穿孔を内視鏡治療併用で保存的に治療する場合,穿孔の影響が限局化していることが条件だが,自験例より穿孔腸管と周囲とが十分癒着していたことが内視鏡治療の成功の要因と考えられ,時間的な要素が加わる可能性が示唆された.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.104