心室頻拍発症時の自律神経活動に関する検討

心室頻拍 (VT) 発生に及ぼす自律神経活動の影響を検討するために, VT発生前のホルター心電図記録の心拍変動解析により自律神経活動の変化を評価し, 病態, 時間帯による差異も検討した.全体でみると, VT発生に近づくにつれて高周波成分 (HF) の低下と低周波成分/高周波成分比 (LF/HF) の上昇の傾向が認められた.疾患別にみると, 心筋梗塞群, 肥大型心筋症群でとくにその傾向が顕著であったが, 拡張型心筋症群, 正常群では有意な変化はみられなかった.時間帯別にみると, 日中発生群は夜間発生群に較べLF/HFの上昇が顕著ではなかった.以上より, VT発生には副交感神経緊張の低下と交感神経...

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Published in心電図 Vol. 17; no. 3; pp. 246 - 250
Main Authors 田川, 隆介, 田辺, 晃久, 半田, 俊之介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1997
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.17.246

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Summary:心室頻拍 (VT) 発生に及ぼす自律神経活動の影響を検討するために, VT発生前のホルター心電図記録の心拍変動解析により自律神経活動の変化を評価し, 病態, 時間帯による差異も検討した.全体でみると, VT発生に近づくにつれて高周波成分 (HF) の低下と低周波成分/高周波成分比 (LF/HF) の上昇の傾向が認められた.疾患別にみると, 心筋梗塞群, 肥大型心筋症群でとくにその傾向が顕著であったが, 拡張型心筋症群, 正常群では有意な変化はみられなかった.時間帯別にみると, 日中発生群は夜間発生群に較べLF/HFの上昇が顕著ではなかった.以上より, VT発生には副交感神経緊張の低下と交感神経緊張の亢進が関与していると考えられるが, これらは疾患, 時間帯などにより必ずしも一律でないことが示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.17.246