失神の原因として交感神経α受容体刺激の低下が示唆された自律神経調節性失神の一例

症例は51歳, 女性.繰り返す失神, 前失神発作と洞性徐脈のため入院.非観血的検査において異常は認めず, 臨床心臓電気生理学的検査では迷走神経亢進状態が診断された.失神の原因として, 自律神経的要因が考えられるため田中式自律神経機能検査, ティルト試験 (HUT: 80度受動起立, 最長30分) を施行.田中式自律神経機能検査ではβ-sensitivityの亢進, α-sensitivityの低下が認められた.HUTにおいては起立後21分15秒に再現性の認められる自律神経調節性失神 (NMS) が誘発された.更に田中式自律神経機能検査の結果から交感神経α1受容体直接刺激薬である塩酸ミドドリン併...

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Published in心電図 Vol. 17; no. 4; pp. 385 - 392
Main Authors 中川, 陽之, 蔵野, 康造, 菊嶋, 修示, 丹野, 郁, 志野原, 睦, 千代田, 和美, 小林, 洋一, 小原, 千明, 片桐, 敬, 馬場, 隆男, 宮田, 彰
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本不整脈心電学会 1997
日本心電学会
Subjects
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ISSN0285-1660
1884-2437
DOI10.5105/jse.17.385

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Summary:症例は51歳, 女性.繰り返す失神, 前失神発作と洞性徐脈のため入院.非観血的検査において異常は認めず, 臨床心臓電気生理学的検査では迷走神経亢進状態が診断された.失神の原因として, 自律神経的要因が考えられるため田中式自律神経機能検査, ティルト試験 (HUT: 80度受動起立, 最長30分) を施行.田中式自律神経機能検査ではβ-sensitivityの亢進, α-sensitivityの低下が認められた.HUTにおいては起立後21分15秒に再現性の認められる自律神経調節性失神 (NMS) が誘発された.更に田中式自律神経機能検査の結果から交感神経α1受容体直接刺激薬である塩酸ミドドリン併用下にHUTを施行したところNMSは認められず, 以後, 塩酸ミドドリンの経口投与により約14カ月の経過観察において失神症状の再発はみられていない.本症例は塩酸ミドドリンが有効であり, このNMSの発生機序の1つとして, 末梢血管収縮に対する交感神経α受容体感受性の低下が示唆された.
ISSN:0285-1660
1884-2437
DOI:10.5105/jse.17.385