直腸に浸潤した前立腺癌と下部直腸多発癌の重複に対して治療的戦略が有効であった1例
症例は78歳の男性,化膿性閉塞性胆管炎治療後に排尿障害を認め,PSA高値であったため前立腺生検を行い,前立腺癌と診断された.前立腺癌は直腸粘膜下層への浸潤が疑われ,また多発性骨転移を認めていた.さらに精査にて下部直腸に2個の癌を認めた.口側直腸癌はcMP,肛門側直腸癌はcMと診断した.そこでまず前立腺癌に対して内分泌療法を行い,奏効確認後肛門側直腸癌に対してEMRを行った.その後胆石症および口側直腸癌に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術および直腸低位前方切除術を行い,直腸癌根治切除と機能温存が可能であった. 進行前立腺癌と他臓器癌の重複癌に対しては,他臓器癌が待機可能であれば,まず前立腺癌に対して内分泌...
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Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 68; no. 4; pp. 258 - 262 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2015
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Subjects | |
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ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.68.258 |
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Summary: | 症例は78歳の男性,化膿性閉塞性胆管炎治療後に排尿障害を認め,PSA高値であったため前立腺生検を行い,前立腺癌と診断された.前立腺癌は直腸粘膜下層への浸潤が疑われ,また多発性骨転移を認めていた.さらに精査にて下部直腸に2個の癌を認めた.口側直腸癌はcMP,肛門側直腸癌はcMと診断した.そこでまず前立腺癌に対して内分泌療法を行い,奏効確認後肛門側直腸癌に対してEMRを行った.その後胆石症および口側直腸癌に対して腹腔鏡下胆嚢摘出術および直腸低位前方切除術を行い,直腸癌根治切除と機能温存が可能であった. 進行前立腺癌と他臓器癌の重複癌に対しては,他臓器癌が待機可能であれば,まず前立腺癌に対して内分泌療法を行い,その効果により以後の戦略を練ることが重要であると考えた. |
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ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.68.258 |