馬尾生検が診断に有用であった髄膜播種性の悪性リンパ腫の1例

症例は49歳男性である.歩行障害を主訴に来院された.全身倦怠感,両下腿の異常感覚に加え,両下肢筋力低下が亜急性に進行し,歩行不能になった.腰椎MRIで馬尾全体が著明に腫大し,びまん性に造影効果をともなっていた.原因を精査していたところ急激に膀胱直腸障害,意識障害および複視が出現した.早急に馬尾生検を施行し,悪性リンパ腫の診断にいたった.化学療法と放射線療法を組み合わせ,症状は著明に改善した.治療後10ヵ月の時点で,下腿の不全麻痺,振動覚低下および異常感覚が残存するが,再発はなくその他の機能は良好でありすでに社会復帰している.髄液検査,馬尾生検が迅速な診断と治療につながり有用であった....

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Published in臨床神経学 Vol. 53; no. 10; pp. 803 - 808
Main Authors 中嶋, 秀樹, 加藤, 丈晴, 本村, 政勝, 山口, 将, 安倍, 邦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2013
Subjects
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.53.803

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Summary:症例は49歳男性である.歩行障害を主訴に来院された.全身倦怠感,両下腿の異常感覚に加え,両下肢筋力低下が亜急性に進行し,歩行不能になった.腰椎MRIで馬尾全体が著明に腫大し,びまん性に造影効果をともなっていた.原因を精査していたところ急激に膀胱直腸障害,意識障害および複視が出現した.早急に馬尾生検を施行し,悪性リンパ腫の診断にいたった.化学療法と放射線療法を組み合わせ,症状は著明に改善した.治療後10ヵ月の時点で,下腿の不全麻痺,振動覚低下および異常感覚が残存するが,再発はなくその他の機能は良好でありすでに社会復帰している.髄液検査,馬尾生検が迅速な診断と治療につながり有用であった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.53.803