膵管胆道合流異常を伴った胆嚢癌におけるWnt-wingless signalingの異常

胆嚢癌の発癌,進展に関与する癌関連遺伝子の検索を目的に,β-catenin蛋白をコードするctnnb-1遺伝子の変異検索を行った.ctnnb-1遺伝子のexon 3はGSK-3βによるリン酸化部位であり,これをPCR-SSCP法にて解析した.さらに,免疫組織化学的検討を行いβ-catenin蛋白の細胞内局在の異常を解析した. 対象は膵管胆道合流異常を合併した胆嚢癌5例と胆嚢癌の合併のない合流異常症8例の胆嚢である.その結果,胆嚢癌5例中3例に,遺伝子変異を同定し得なかったものの,β-catenin蛋白の核,または細胞質への移行が確認された.合流異常症例の胆道系組織(非癌部)では,遺伝子変異,細...

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Published in胆道 Vol. 14; no. 4; pp. 339 - 346
Main Authors 木村, 康利, 古畑, 智久, 向谷, 充宏, 柳内, 良之, 川上, 雅代, 佐藤, 昌明, 一宮, 慎吾, 平間, 敏憲, 平田, 公一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2000
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Summary:胆嚢癌の発癌,進展に関与する癌関連遺伝子の検索を目的に,β-catenin蛋白をコードするctnnb-1遺伝子の変異検索を行った.ctnnb-1遺伝子のexon 3はGSK-3βによるリン酸化部位であり,これをPCR-SSCP法にて解析した.さらに,免疫組織化学的検討を行いβ-catenin蛋白の細胞内局在の異常を解析した. 対象は膵管胆道合流異常を合併した胆嚢癌5例と胆嚢癌の合併のない合流異常症8例の胆嚢である.その結果,胆嚢癌5例中3例に,遺伝子変異を同定し得なかったものの,β-catenin蛋白の核,または細胞質への移行が確認された.合流異常症例の胆道系組織(非癌部)では,遺伝子変異,細胞内局在をともに認めなかったことから,Wnt-winglessの情報伝達系におけるβ-catenin蛋白の異常蓄積は胆嚢癌の発生,進展において北較的後期に関与する可能性が示唆された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.14.4_339