妊娠中期と後期における腰痛と歩行および身体活動量の変化と関連性

目 的本研究の目的は,妊娠中期と後期における,1) 腰痛と歩容指標(人間の歩行動作・歩きぶりを運動学的データにより可視化された指標),および身体活動量の変化の検討,2) これら3つの変数間の関連性を検討することである。対象と方法対象は正常経過の妊婦35名とした。データ収集は,妊娠中期と妊娠後期の2回,腰痛・歩容指標・身体活動量の測定を実施した。腰痛の測定には,Visual Analog Scale(VAS)を用い,歩容指標は3軸加速度センサーを用いて,歩行の変動係数・規則性・円滑性,体幹の動揺性により分析を行った。身体活動量は生活習慣記録機を3日間以上の装着により計測した。結 果妊娠中期と後期...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本助産学会誌 Vol. 34; no. 1; pp. 3 - 13
Main Authors 渡邊, 香織, 藤島, 和代, 渡邊, 友美子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本助産学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:目 的本研究の目的は,妊娠中期と後期における,1) 腰痛と歩容指標(人間の歩行動作・歩きぶりを運動学的データにより可視化された指標),および身体活動量の変化の検討,2) これら3つの変数間の関連性を検討することである。対象と方法対象は正常経過の妊婦35名とした。データ収集は,妊娠中期と妊娠後期の2回,腰痛・歩容指標・身体活動量の測定を実施した。腰痛の測定には,Visual Analog Scale(VAS)を用い,歩容指標は3軸加速度センサーを用いて,歩行の変動係数・規則性・円滑性,体幹の動揺性により分析を行った。身体活動量は生活習慣記録機を3日間以上の装着により計測した。結 果妊娠中期と後期の比較では,妊娠前の腰痛無の妊婦18名(51.4%)において,妊娠中期よりも後期のVAS値が高かった(p=0.01)。歩数と身体活動の中高強度活動時間は中期よりも後期に減少していた(p=0.01)。歩容指標では,歩行の変動性は,妊娠中期よりも後期に大きくなり(p=0.03),一定のリズムでの歩行が行えていなかった。体幹の動揺性は後期に小さく変化し(p=0.03),体幹の動揺が小さくなっていた。腰痛と歩容指標との相関では,妊娠中期の歩行の円滑性が高いほど後期のVASは低かった(r=−.411~−.517,p<0.05)。歩容指標と身体活動量の相関は,妊娠中期の歩数が多いほど,妊娠後期の体幹の動揺性(r=.436,p<0.05),歩行の規則性(r=.379~460,p<0.05)が高かった。結 論妊娠後期の歩行は不安定であり,重心動揺を小さくして歩行能力を維持していることから,転倒予防のリスク対策が必要である。妊娠後期まで歩行能力を維持するために,転倒リスクや腰痛も考慮した,安全で簡易な体幹機能トレーニングを含めた運動支援が妊娠中期から必要である。
ISSN:0917-6357
1882-4307
DOI:10.3418/jjam.JJAM-2019-0019