無症候性原発性胆汁性肝硬変にともなう感覚性運動失調型ニューロパチーの1例

症例は65歳女性である.原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症にともない,約12年の経過で非対称性に上肢に限局する感覚性運動失調型ニューロパチー(SAN)が進行した.神経伝導検査で上肢の感覚神経活動電位は導出されず,右橈骨神経浅枝生検にて大径有髄線維密度の高度減少をみとめた.各種検査よりシェーグレン症候群(SjS)や傍腫瘍性神経症候群は否定的で,無症候性PBCに合併したと診断した.ステロイド治療や免疫グロブリン大量静注療法を施行したが,症状は進行性である.病態機序としてSjSにともなうものと酷似するganglionopathyの可能性を考えた.SANの鑑別診断としてPBCも考慮する必要があると思わ...

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Published in臨床神経学 Vol. 50; no. 1; pp. 12 - 16
Main Authors 上田, 佳世, 秋山, 太助, 豊岡, 圭子, 安井, 久美子, 藤村, 晴俊
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2010
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.50.12

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Summary:症例は65歳女性である.原発性胆汁性肝硬変(PBC)の発症にともない,約12年の経過で非対称性に上肢に限局する感覚性運動失調型ニューロパチー(SAN)が進行した.神経伝導検査で上肢の感覚神経活動電位は導出されず,右橈骨神経浅枝生検にて大径有髄線維密度の高度減少をみとめた.各種検査よりシェーグレン症候群(SjS)や傍腫瘍性神経症候群は否定的で,無症候性PBCに合併したと診断した.ステロイド治療や免疫グロブリン大量静注療法を施行したが,症状は進行性である.病態機序としてSjSにともなうものと酷似するganglionopathyの可能性を考えた.SANの鑑別診断としてPBCも考慮する必要があると思われた.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.50.12