肛門部Bowen癌の1例~自験例を含めた本邦報告8例の集計

今回われわれは肛門部に発生する頻度は稀とされる肛門部Bowen癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳女性.肛門部の皮疹を訴え当院受診.肛門周囲皮膚に辺縁が明瞭な乳頭状隆起の集簇病変を認めた.生検では腫瘍細胞は表皮内に限局していたため,Bowen病の術前診断にて腫瘍局所切除術,有茎皮弁形成術,植皮術および人工肛門造設術を施行.病理組織学的診断では一部に基底層を越えた癌細胞の浸潤を認め,最終診断はBowen癌であった.Bowen病の術前深達度診断は難しく,局所切除の際にはBowen癌の可能性も考え,切除断端陰性を確保できるように切除範囲を設定すべきであると考えられた.また肛門部は人工肛門を造...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 183 - 187
Main Authors 村木, 輝, 大山, 莉奈, 豊田, 哲鎬, 鈴木, 英之, 吉野, 雅則, 中田, 亮輔, 内田, 英二, 松信, 哲朗, 渡辺, 昌則, 清水, 貴夫, 山際, 亮, 三浦, 克洋
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2014
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.67.183

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Summary:今回われわれは肛門部に発生する頻度は稀とされる肛門部Bowen癌の1例を経験したので報告する.症例は57歳女性.肛門部の皮疹を訴え当院受診.肛門周囲皮膚に辺縁が明瞭な乳頭状隆起の集簇病変を認めた.生検では腫瘍細胞は表皮内に限局していたため,Bowen病の術前診断にて腫瘍局所切除術,有茎皮弁形成術,植皮術および人工肛門造設術を施行.病理組織学的診断では一部に基底層を越えた癌細胞の浸潤を認め,最終診断はBowen癌であった.Bowen病の術前深達度診断は難しく,局所切除の際にはBowen癌の可能性も考え,切除断端陰性を確保できるように切除範囲を設定すべきであると考えられた.また肛門部は人工肛門を造設しても術後創部感染をきたしやすいことから皮膚欠損部の修復には可能な限り有茎皮弁を用いるべきであると考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.67.183