無菌性髄膜炎様の症状で発症し,Protein S欠乏症による脳静脈血栓症と判明した1例

症例は28歳男性である.頸部痛についで発熱,頭痛をきたして受診した.意識は清明で,項部硬直以外には神経学的に異常をみとめなかった.髄液検査では単核球優位の細胞増加をみとめ,無菌性髄膜炎の診断で入院した.入院4日目に左頭頂葉に広範な脳出血が出現し,開頭血腫除去術が施行された.術中所見と脳血管撮影,後方視的な画像評価から脳静脈血栓症と診断した.Protein S活性の低下をみとめたため遺伝子検査を施行したところ,Protein S遺伝子変異がみとめられ,Protein S欠乏症による静脈洞血栓症と診断した.初発症状が無菌性髄膜炎様であっても,脳静脈血栓症の可能性があることに留意が必要と考える....

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Published in臨床神経学 Vol. 52; no. 10; pp. 762 - 768
Main Authors 石川, 英洋, 牧, 俊樹, 大達, 清美, 川田, 憲一, 冨本, 秀和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2012
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Summary:症例は28歳男性である.頸部痛についで発熱,頭痛をきたして受診した.意識は清明で,項部硬直以外には神経学的に異常をみとめなかった.髄液検査では単核球優位の細胞増加をみとめ,無菌性髄膜炎の診断で入院した.入院4日目に左頭頂葉に広範な脳出血が出現し,開頭血腫除去術が施行された.術中所見と脳血管撮影,後方視的な画像評価から脳静脈血栓症と診断した.Protein S活性の低下をみとめたため遺伝子検査を施行したところ,Protein S遺伝子変異がみとめられ,Protein S欠乏症による静脈洞血栓症と診断した.初発症状が無菌性髄膜炎様であっても,脳静脈血栓症の可能性があることに留意が必要と考える.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.52.762