S状結腸憩室炎による子宮全摘術後の結腸膣瘻の1手術例

症例は79歳の女性.約40年前に子宮筋腫のため子宮全摘術の既往がある.肛門周囲痛と発熱を認め,抗生剤投与などの加療で症状は軽快したものの膣からの便汁流出が出現した.膣鏡検査において膣断端右側に瘻孔が確認され腸管膣断端瘻の診断で当院に紹介となった.直腸診,肛門鏡検査では,明らかな異常を認めなかったが,経膣的に瘻孔よりカテーテルを挿入して行った造影検査でS状結腸が造影された.S状結腸膣断端瘻の診断で手術を施行した.S状結腸は著明な壁肥厚を認め,周囲の膿瘍腔を介在して膣断端に通じる瘻孔が確認できた.膣断端を閉鎖,S状結腸切除術ののち回腸人工肛門造設を行った.術後4ヵ月で回腸人工肛門閉鎖術を施行した....

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 71; no. 7; pp. 307 - 311
Main Authors 赤井, 俊也, 丸尾, 啓敏, 平山, 一久, 東, 幸宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2018
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.71.307

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Summary:症例は79歳の女性.約40年前に子宮筋腫のため子宮全摘術の既往がある.肛門周囲痛と発熱を認め,抗生剤投与などの加療で症状は軽快したものの膣からの便汁流出が出現した.膣鏡検査において膣断端右側に瘻孔が確認され腸管膣断端瘻の診断で当院に紹介となった.直腸診,肛門鏡検査では,明らかな異常を認めなかったが,経膣的に瘻孔よりカテーテルを挿入して行った造影検査でS状結腸が造影された.S状結腸膣断端瘻の診断で手術を施行した.S状結腸は著明な壁肥厚を認め,周囲の膿瘍腔を介在して膣断端に通じる瘻孔が確認できた.膣断端を閉鎖,S状結腸切除術ののち回腸人工肛門造設を行った.術後4ヵ月で回腸人工肛門閉鎖術を施行した.以後,再発は認めず,経過良好である.本症例はS状結腸憩室炎から生じた骨盤内膿瘍が脆弱な膣断端より膣内腔にドレナージされ,その後,S状結腸膣瘻を形成したものと考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.71.307