下腸間膜動脈未再建腹部大動脈人工血管置換術後症例の脾弯曲部結腸癌手術に対し血管3D-CTが有用であった1例

70歳,男性.67歳時,腹部大動脈瘤に対し,人工血管置換術.その際,下腸間膜動脈(IMA)は動脈硬化により閉塞しており未再建であった.スクリーニングの下部消化管内視鏡検査で結腸脾弯曲部に0-IIa+IIc病変を認め精査加療目的に入院.腹部血管3D-CTでは,IMAは描出されず,左側結腸の血流は,中結腸動脈(MCA)左枝から辺縁動脈を介し,上直腸動脈(SRA)に達していた.D2郭清の際,MCA左枝で結紮となり,IMAからの血流がないことから,残存する肛門側の左側結腸の虚血が危惧された.術中,切離予定部の肛門側辺縁動脈を剪刃で鋭的に切離したところ,断端から動脈血の拍動性噴出を認め,内腸骨動脈からS...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 70; no. 4; pp. 222 - 226
Main Authors 佐々木, 一晃, 大野, 敬祐, 三浦, 亮, 勝木, 伸一, 藤田, 朋紀, 野田, 愛, 及能, 拓朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2017
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.70.222

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Summary:70歳,男性.67歳時,腹部大動脈瘤に対し,人工血管置換術.その際,下腸間膜動脈(IMA)は動脈硬化により閉塞しており未再建であった.スクリーニングの下部消化管内視鏡検査で結腸脾弯曲部に0-IIa+IIc病変を認め精査加療目的に入院.腹部血管3D-CTでは,IMAは描出されず,左側結腸の血流は,中結腸動脈(MCA)左枝から辺縁動脈を介し,上直腸動脈(SRA)に達していた.D2郭清の際,MCA左枝で結紮となり,IMAからの血流がないことから,残存する肛門側の左側結腸の虚血が危惧された.術中,切離予定部の肛門側辺縁動脈を剪刃で鋭的に切離したところ,断端から動脈血の拍動性噴出を認め,内腸骨動脈からSRAを介し残存する肛門側結腸が供血されていた.合併症なく,術後第30病日目に退院.既往手術や高度動脈硬化症例でも同様な血流状態となる可能もあり,術前検査として血管3D-CTが有用であると考えている.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.70.222