治癒後10年目に再燃し,Fournier症候群へ移行した慢性臀部膿皮症の1例

症例は72歳男性,痔瘻を合併する慢性臀部膿皮症として当科で膿皮切除,瘻管切開術,シートン術を施行し,治癒となった.治癒後10年目に臀部の瘻孔からの排膿を主訴に外来を受診した.CT・MRIで会陰・仙骨前面にガス像を伴う皮下膿瘍を認め,急速に増悪する臀部痛を認めたことからFournier症候群と診断し,緊急手術を施行した.術後所見では痔瘻の再発・新規病変は認められなかった.慢性臀部膿皮症は毛孔閉塞に起因する感染を反復することによって生じる慢性皮膚障害であり,病変の主座は皮下であることが多い1).一方Fournier症候群は痔瘻・痔核などの肛門疾患を背景として発生する会陰,肛門周囲を中心とした劇症型...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 4; pp. 163 - 167
Main Authors 八木, 寛, 小林, 孝, 渡邊, 隆興, 田中, 花菜
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2020
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は72歳男性,痔瘻を合併する慢性臀部膿皮症として当科で膿皮切除,瘻管切開術,シートン術を施行し,治癒となった.治癒後10年目に臀部の瘻孔からの排膿を主訴に外来を受診した.CT・MRIで会陰・仙骨前面にガス像を伴う皮下膿瘍を認め,急速に増悪する臀部痛を認めたことからFournier症候群と診断し,緊急手術を施行した.術後所見では痔瘻の再発・新規病変は認められなかった.慢性臀部膿皮症は毛孔閉塞に起因する感染を反復することによって生じる慢性皮膚障害であり,病変の主座は皮下であることが多い1).一方Fournier症候群は痔瘻・痔核などの肛門疾患を背景として発生する会陰,肛門周囲を中心とした劇症型の壊死性筋膜炎として知られている2).本症例は皮下病変が中心である慢性臀部膿皮症が治癒後長期間を経て再燃し,壊死性筋膜炎であるFournier症候群へ移行した稀な1例と考えられた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.73.163