総胆管直接閉鎖術における血管吻合用クリップ(Vascular Closure Staple:VCS)の有用性に関する検討

血管吻合用クリップであるVascular Closure Staple(VCS)は内腔に露出しない特徴をもつが,このVCSを用いて総胆管直接閉鎖術を計20例(全例総胆管結石例)に施行した.7例は最初から開腹手術で行い,13例は腹腔鏡下で施行した.開腹手術ではVCSによる総胆管直接閉鎖はきわめて容易で,手術時間を短縮することができた.一方,腹腔鏡下ではVCSを直接腹壁より挿入し,支持糸と鉗子を用いて胆管閉鎖が可能であったが,緊急例1例において術後胆汁漏から胆管狭窄をきたし,再手術を必要とした,他の症例においては術後合併症はなく,観察期間はまだ短いが胆管狭窄や再発結石は認めていない.VCSを用いた...

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Published in胆道 Vol. 15; no. 2; pp. 79 - 84
Main Authors 篠塚, 望, 斉藤, 直人, 安西, 春幸, 松本, 隆, 小澤, 修太郎, 俵, 英之, 上笹, 直, 鈴木, 智晴, 浅野, 博, 阿達, 竜介, 小山, 勇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 2001
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Summary:血管吻合用クリップであるVascular Closure Staple(VCS)は内腔に露出しない特徴をもつが,このVCSを用いて総胆管直接閉鎖術を計20例(全例総胆管結石例)に施行した.7例は最初から開腹手術で行い,13例は腹腔鏡下で施行した.開腹手術ではVCSによる総胆管直接閉鎖はきわめて容易で,手術時間を短縮することができた.一方,腹腔鏡下ではVCSを直接腹壁より挿入し,支持糸と鉗子を用いて胆管閉鎖が可能であったが,緊急例1例において術後胆汁漏から胆管狭窄をきたし,再手術を必要とした,他の症例においては術後合併症はなく,観察期間はまだ短いが胆管狭窄や再発結石は認めていない.VCSを用いた総胆管直接閉鎖術は,今後,器具の開発や手技の確立が必要であるが,腹腔鏡下手術においても手術時間の短縮や合併症の軽減に有用となりうる可能性があると思われた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.15.2_79