全周性狭窄を伴うS状結腸サルコイドーシスの1例
サルコイドーシスは全身に類上皮性肉芽腫を形成する疾患である.症例は85歳の女性で,血便を主訴に受診した.大腸内視鏡検査ではS状結腸が全周性に狭窄し,内視鏡の通過は困難で,粘膜面に癌を疑う病変はなく,生検は行わなかった.同時に施行した造影検査で狭窄口側に憩室を認めた.腹部造影CTではS状結腸の壁肥厚と左内外腸骨分岐部のリンパ節腫大,FDG-PETではS状結腸に限局性集積があり,左閉鎖域や左総腸骨域の小結節に集積があった.以上により,S状結腸腫瘍または憩室炎による狭窄の診断で腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.病理検査では,筋層に類上皮肉芽組織の包巣が見られたが,中心性壊死はなかった.INF-γ遊走...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 58; no. 6; pp. 358 - 365 |
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Main Authors | , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.06.2025
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9768 1348-9372 |
DOI | 10.5833/jjgs.2024.0060 |
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Summary: | サルコイドーシスは全身に類上皮性肉芽腫を形成する疾患である.症例は85歳の女性で,血便を主訴に受診した.大腸内視鏡検査ではS状結腸が全周性に狭窄し,内視鏡の通過は困難で,粘膜面に癌を疑う病変はなく,生検は行わなかった.同時に施行した造影検査で狭窄口側に憩室を認めた.腹部造影CTではS状結腸の壁肥厚と左内外腸骨分岐部のリンパ節腫大,FDG-PETではS状結腸に限局性集積があり,左閉鎖域や左総腸骨域の小結節に集積があった.以上により,S状結腸腫瘍または憩室炎による狭窄の診断で腹腔鏡下S状結腸切除術を施行した.病理検査では,筋層に類上皮肉芽組織の包巣が見られたが,中心性壊死はなかった.INF-γ遊走試験,喀痰の核酸増幅検査,抗酸菌培養が陰性で,サルコイドーシスと診断した.これまで本邦における大腸サルコイドーシスの本邦報告例は6例で,全周性の結腸狭窄を呈した症例は自験例のみであった. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.2024.0060 |