ロッドブラシの主鎖剛直性について

ポリ(n-ヘキシルイソシアナート)棒状側鎖と,柔軟なポリスチレンあるいはポリメタクリレート主鎖からなるロッドブラシの分子鎖形態は,テトラヒドロフラン中25℃で静的光散乱と小角X線散乱測定によって研究された.さまざまなグラフト鎖長(Ls)およびグラフト間距離(lg)を有するロッドブラシの断面の平均二乗回転半径〈Sc2〉,分子内散乱因子P(q),z-平均二乗回転半径〈S2〉zは,主鎖重合度NMおよびLsの関数としてまとめられた.〈Sc2〉のLsおよびlg依存性は,みみずくしモデルで良く記述できることがわかった.また,P(q)および〈S2〉zは末端のはみだしを考慮した円筒みみず鎖モデルで定量的に表す...

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Published in高分子論文集 Vol. 74; no. 1; pp. 64 - 74
Main Authors 齋藤, 悠太, 川口, 正剛, 鳴海, 敦, 菊地, 守也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2017
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ISSN0386-2186
1881-5685
DOI10.1295/koron.2016-0057

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Summary:ポリ(n-ヘキシルイソシアナート)棒状側鎖と,柔軟なポリスチレンあるいはポリメタクリレート主鎖からなるロッドブラシの分子鎖形態は,テトラヒドロフラン中25℃で静的光散乱と小角X線散乱測定によって研究された.さまざまなグラフト鎖長(Ls)およびグラフト間距離(lg)を有するロッドブラシの断面の平均二乗回転半径〈Sc2〉,分子内散乱因子P(q),z-平均二乗回転半径〈S2〉zは,主鎖重合度NMおよびLsの関数としてまとめられた.〈Sc2〉のLsおよびlg依存性は,みみずくしモデルで良く記述できることがわかった.また,P(q)および〈S2〉zは末端のはみだしを考慮した円筒みみず鎖モデルで定量的に表すことができた.主鎖の一次構造の違い,さまざまなLsとlgをもつロッドブラシの主鎖の剛直性パラメータ(λM−1)は,λM−1 = λ0−1 + ds2Ls/(2dMlg)で表されることがわかった.ここで,λ0−1は主鎖固有の剛直性パラメータ,dsおよびdMはそれぞれ側鎖および主鎖の直径である.この式はシータ溶媒中におけるフレキシブルブラシや長鎖アルキル基を有する線状のポリメタクリレート鎖に対しても成り立ち,一般性がある関係式であることがわかった.ブラシ状高分子における主鎖剛直性の増加は,ブラシ状分子内における側鎖の混雑による自由エネルギーの増大に関係しているものと考えられた.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.2016-0057