破骨細胞特異的Dicer欠損は破骨細胞分化を抑制し骨量を増加させる

MicroRNA(miRNA)は約22塩基の内因性のRNAであり、標的遺伝子の発現調節を行うことにより、様々な生理的・病的状態における細胞の分化・増殖・細胞死において重要な役割を担う。破骨細胞は、分化過程や機能調節において、様々なサイトカインやシグナル分子、転写因子等により複雑に制御されており、その過程においてmiRNAが重要な役割を担う可能性が考えられる一方で、未だ十分な報告はなされていない。今回我々は、in vivoにおけるmiRNAの破骨細胞での役割を明らかにするため、miRNAの形成を担うRNase_III_酵素の一つであるDicerに注目し、Dicer floxマウスとカテプシンK-...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 143
Main Authors 中島, 和久, 宮坂, 信之, 野田, 政樹, 溝口, 史高, 中村, 貴, Harfe, Brian, 加藤, 茂明, 江面, 陽一, 早田, 匡芳, 伊豆, 弥生, 辺見, 弘明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2008
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.36.0.143.0

Cover

More Information
Summary:MicroRNA(miRNA)は約22塩基の内因性のRNAであり、標的遺伝子の発現調節を行うことにより、様々な生理的・病的状態における細胞の分化・増殖・細胞死において重要な役割を担う。破骨細胞は、分化過程や機能調節において、様々なサイトカインやシグナル分子、転写因子等により複雑に制御されており、その過程においてmiRNAが重要な役割を担う可能性が考えられる一方で、未だ十分な報告はなされていない。今回我々は、in vivoにおけるmiRNAの破骨細胞での役割を明らかにするため、miRNAの形成を担うRNase_III_酵素の一つであるDicerに注目し、Dicer floxマウスとカテプシンK-Creノックインマウスを交配することにより、破骨細胞特異的Dicer欠損マウス(cKO)を作成し解析を行った。cKOでは、野生型に比べ、破骨細胞数は減少し、海綿骨量の増加と骨梁の肥厚を認めた。in vitroにおける骨髄細胞を用いた破骨細胞形成においても、cKOにて破骨細胞数の減少を認めた。一方、骨髄中の破骨細胞前駆細胞数や、TUNEL染色による破骨細胞の細胞死は同様であった。カルセイン2重標識による骨形成率はcKOにて低下を認めた。これらの結果から、破骨細胞においてDicer, microRNAが破骨細胞分化に必要であり、骨量調節に重要な役割を担っていることが示された。
Bibliography:2-28
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.36.0.143.0