乳酸菌によるIFN-β産生誘導を介したTh1免疫増強機構

【目的】近年乳酸菌の抗アレルギー効果について多数報告されているが、その機構については不明な点が多い。今回、ミエロイド系細胞からのIL-12産生を亢進させる乳酸菌Tetragenococcus halophilus KK221株(Th221株)について、樹状細胞による認識とTh1免疫の誘導機構を解析した。【方法】KK221株の通年性アレルギー性鼻炎に対する臨床効果は、二重盲検平行群間比較法により行なった。また、OVA感作を行なったBALB/cマウスにKK221株を経口投与することにより、Th1免疫の増強効果を調べた。さらに、TLRノックアウトマウス由来の骨髄由来樹状細胞(BMDC)を用いて、樹状...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 131
Main Authors 金子, 大輔, 改正, 恒康, 小幡, 明雄, 小坂, 朱, 辻, 典子, 筒井, ひろ子, 榎本, 雅夫, 川島, 忠臣, 西村, 郁子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2008
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.36.0.131.0

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Summary:【目的】近年乳酸菌の抗アレルギー効果について多数報告されているが、その機構については不明な点が多い。今回、ミエロイド系細胞からのIL-12産生を亢進させる乳酸菌Tetragenococcus halophilus KK221株(Th221株)について、樹状細胞による認識とTh1免疫の誘導機構を解析した。【方法】KK221株の通年性アレルギー性鼻炎に対する臨床効果は、二重盲検平行群間比較法により行なった。また、OVA感作を行なったBALB/cマウスにKK221株を経口投与することにより、Th1免疫の増強効果を調べた。さらに、TLRノックアウトマウス由来の骨髄由来樹状細胞(BMDC)を用いて、樹状細胞のKK221株認識に関わるTLRを同定し、BMDCとCD4+ T細胞の共培養系によりTh1免疫の誘導機構を解析した。【結果】臨床試験においてKK221株の通年性アレルギー性鼻炎に対する緩和効果が確認された。また、動物試験において抗原特異的IFN-γ産生、IFN-γ/IL-4比の増強、抗原特異的IgE値の低下が認められた。さらにin vitro試験から、Th1細胞の分化誘導にTLR3依存性のIFN-β産生が関与することが明らかとなった。TLR3はウィルス二重鎖RNAを認識することが知られているが、本研究においてバクテリアの認識にも機能することが明らかとなった。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.36.0.131.0