NLRファミリー関連疾患が疑われる2症例の検討

近年、自己抗体や自己反応性のT細胞を認めず、臨床的には周期性の発熱を認める疾患群としてautoinflammatory syndrome自己炎症症候群(AIS)という概念が提唱されている。これらの疾患の原因遺伝子の発見により、自然免疫における細胞質NLR(NOD-like receptor)ファミリー受容体の病態が明らかにされつつある。今回、当施設で経験した2症例について、NLRの異常が関与している可能性について、文献的考察などをふまえて検討したので報告する。 【症例1】28歳女性。出生時から、冬季になると顔や四肢に発疹が出現していた。その後も寒冷暴露時に発熱・発疹が出現し、16歳頃からは関節...

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Published in日本臨床免疫学会総会抄録集 p. 120
Main Authors 泉川, 美晴, 洲崎, 賢太郎, 壇上, 淳一, 中島, 崇作, 島田, 裕美, 竹内, 洋平, 高野, 耕志郎, 亀田, 智広, 土橋, 浩章, 松永, 卓也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2011
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Summary:近年、自己抗体や自己反応性のT細胞を認めず、臨床的には周期性の発熱を認める疾患群としてautoinflammatory syndrome自己炎症症候群(AIS)という概念が提唱されている。これらの疾患の原因遺伝子の発見により、自然免疫における細胞質NLR(NOD-like receptor)ファミリー受容体の病態が明らかにされつつある。今回、当施設で経験した2症例について、NLRの異常が関与している可能性について、文献的考察などをふまえて検討したので報告する。 【症例1】28歳女性。出生時から、冬季になると顔や四肢に発疹が出現していた。その後も寒冷暴露時に発熱・発疹が出現し、16歳頃からは関節炎が加わるようになり、精査を受けたが確定診断には至らず、ステロイド内服で治療を受けている。その後も寒冷発作のエピソードを繰り返しており、AISの一疾患であるfamilial cold autoinflammatory syndrome家族性寒冷蕁麻疹(FCAS)を疑い、遺伝子解析などについて検討した。 【症例2】23歳女性。元来健康であったが、妊娠中のインフルエンザ感染を契機に血球貪食症候群を呈した。骨髄穿刺および末梢血にて、体細胞型染色体異常46, XX, t(3;17) (q21;p13)を認めた。ステロイドパルス2クール施行にてHPSは改善し、妊娠40週で正常分娩にて女児を出産した。しかし、その後も再発する発熱を認めている。本症例で染色体異常が認められた17p13は、発熱に関連した遺伝子としてはNLR1をコードしている。HPSを発症し、その後周期性発熱を認める本症例の病態に、染色体異常が関連している可能性やNLRの関与の有無について考察した。
Bibliography:PW-36
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.39.0.120.0