化学療法を施行した造血器腫瘍患者への運動療法効果と疾患別の特徴

【はじめに、目的】 がん患者は、がんの進行あるいは治療過程で様々な有害反応や合併症により廃用症候群を生じることが多く、その予防を目的としてリハビリテーション治療を行うことは重要である。造血器腫瘍患者へのリハビリテーションに関する報告は、造血幹細胞移植の報告が多く、化学療法前後の効果を報告したものは少ない。今回、化学療法を施行した造血器腫瘍患者に対する運動療法効果と疾患別の特徴について後方視的に検討した。【方法】 対象は、2017 年6 月~ 2018 年12 月に当院で化学療法を受けた造血器腫瘍患者で、初回のリハビリテーション依頼があった患者133 例。なお、死亡例や評価が困難であった者は除外...

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Published inKyushu physical therapist Congress Vol. 2021; p. 65
Main Authors 伊藤, 能清, 堂園, 浩一朗, 野崎, 聖矢, 村山, 芳博, 宇都宮, 與, 奈良, 聡一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2021
Kyushu Physical Therapy Association
Subjects
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2021.0_65

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Summary:【はじめに、目的】 がん患者は、がんの進行あるいは治療過程で様々な有害反応や合併症により廃用症候群を生じることが多く、その予防を目的としてリハビリテーション治療を行うことは重要である。造血器腫瘍患者へのリハビリテーションに関する報告は、造血幹細胞移植の報告が多く、化学療法前後の効果を報告したものは少ない。今回、化学療法を施行した造血器腫瘍患者に対する運動療法効果と疾患別の特徴について後方視的に検討した。【方法】 対象は、2017 年6 月~ 2018 年12 月に当院で化学療法を受けた造血器腫瘍患者で、初回のリハビリテーション依頼があった患者133 例。なお、死亡例や評価が困難であった者は除外した。運動療法は、週5-6 回、1 日に20-40 分とし、各種運動療法を実施した。評価は、Performance Status (PS)、握力、10m 歩行速度、Time up &go test (TUG)、Cancer Fatigue Scale (CFS)、Barthel Index (BI) とし、運動療法開始時と退院時に担当理学療法士が測定した。統計解析は、対応のあるt 検定を用い、有意水準5%未満として検討した。【結果】 対象者の内訳は、急性白血病(急性骨髄性/ リンパ性;AL)50例:男性21 例、女性29 例、年齢中央値61 歳、入院日数中央値43 日、成人T 細胞性白血病リンパ腫(ATL)25 例:男性16 例、女性9 例、年齢中央値67 歳、入院日数中央値47 日、悪性リンパ腫(ML)43 例:男性24 例、女性19 例、年齢中央値72 歳、入院日数中央値23 日、多発性骨髄腫(MM)15 例:男性10 例、女性5例、年齢中央値66 歳、入院日数中央値31 日である。運動療法開始時と退院時の変化は、AL、ATL、ML、MM の順に、全身状態評価:PS( - 0.7 点;p【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針に準じて実施した。なお、本研究は、事前に所属施設倫理委員会の承認を得た(承認番号:NCR 19-36)。
ISSN:2434-3889
DOI:10.32298/kyushupt.2021.0_65