ロープを用いた体幹前屈運動が脊柱アライメントに及ぼす即時効果

要旨 腰痛は臨床現場でも遭遇する機会の多い疾患であり,腰痛の改善を目的に様々な運動療法が行われている.そこで本研究では腰痛の原因の一つである骨盤後傾位に伴う脊柱骨盤アライメントに着目し,この骨盤後傾位を改善する目的で端座位での骨盤専用ロープを用いた体幹前屈運動が脊柱アライメントに及ぼす即時効果を検証した.対象は健常成人男性24 名とし,ロープあり群12 名とロープ群12 名に分類した.体幹前屈運動は検者の指示により5 回× 1 セット実施した.座位および立位時の脊柱アライメント(胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角)の測定は,運動の前後にスパイナルマウスを用いて測定 した.また併せて立位体前屈を...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in保健医療学雑誌 Vol. 12; no. 2; pp. 149 - 157
Main Authors 上野, 真由美, 新納, 宗輔, 古島, 弘三, 菅野, 好規, 小山, 浩司, 足立, 和隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 保健医療学学会 01.10.2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2185-0399
DOI10.15563/jalliedhealthsci.12.149

Cover

More Information
Summary:要旨 腰痛は臨床現場でも遭遇する機会の多い疾患であり,腰痛の改善を目的に様々な運動療法が行われている.そこで本研究では腰痛の原因の一つである骨盤後傾位に伴う脊柱骨盤アライメントに着目し,この骨盤後傾位を改善する目的で端座位での骨盤専用ロープを用いた体幹前屈運動が脊柱アライメントに及ぼす即時効果を検証した.対象は健常成人男性24 名とし,ロープあり群12 名とロープ群12 名に分類した.体幹前屈運動は検者の指示により5 回× 1 セット実施した.座位および立位時の脊柱アライメント(胸椎後弯角,腰椎前弯角,仙骨傾斜角)の測定は,運動の前後にスパイナルマウスを用いて測定 した.また併せて立位体前屈を測定し運動の前後で比較検討した.その結果,ロープあり群において,座位,立位ともに運動終了後に腰椎前弯角,仙骨傾斜角の有意な増加を認めた.一方,ロープ群では,座位において腰椎前弯角,仙骨傾斜角に有意な増加を認めたが,立位では全ての測定項目に有意差を認めなかった.立位体前屈においては両群ともに運動の前後で有意な増加を認めた.また運動前後における立位体前屈の変化量の比較では,ロープあり群が有意に高値を示した.端座位における体幹前屈運動にロープを使用することによる即時効果として,立位時の脊柱アライメントにも変化を与える可能性が示唆された.
ISSN:2185-0399
DOI:10.15563/jalliedhealthsci.12.149