呼吸器系障害

全身性の自己免疫疾患の代表である膠原病において、呼吸器系の障害はその予後を決める大切な合併症で、しばしば難治性である。なかでも間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症、肺梗塞症は重篤な合併症である。間質性肺炎は膠原病の種類により頻度・臨床像・治療反応性が異なる。合併頻度の高いのは多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM), 強皮症(SSc)で、約40%に認められる。 関節リウマチ(RA)では10~20%、全身性エリテマトーデス(SLE)では5%以下である。 SSc, RAでは慢性に発症するものが多いが、PM/DMは急性発症型、慢性発症型いずれもあり、時にARDSに至り、生命予後を左右する。肺胞出血の頻度は低い...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 34; p. 117
Main Author 原, まさ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2006
The Japan Society for Clinical Immunology
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.34.0.117.0

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Summary:全身性の自己免疫疾患の代表である膠原病において、呼吸器系の障害はその予後を決める大切な合併症で、しばしば難治性である。なかでも間質性肺炎、肺胞出血、肺高血圧症、肺梗塞症は重篤な合併症である。間質性肺炎は膠原病の種類により頻度・臨床像・治療反応性が異なる。合併頻度の高いのは多発性筋炎・皮膚筋炎(PM/DM), 強皮症(SSc)で、約40%に認められる。 関節リウマチ(RA)では10~20%、全身性エリテマトーデス(SLE)では5%以下である。 SSc, RAでは慢性に発症するものが多いが、PM/DMは急性発症型、慢性発症型いずれもあり、時にARDSに至り、生命予後を左右する。肺胞出血の頻度は低いがANCA関連血管炎やSLEに伴う重篤な合併症で、迅速な診断と、早期の積極的な治療が大切である。呼吸困難とびまん性浸潤影を見たときには本症が疑われる。肺高血圧症(PH)は呼吸器系というより肺血管系の病変であるが, 特に混合性結合組織病(MCTD)での合併率が高く、注目されている。いずれも活動性で進行性の病変があれば原病に対する治療、すなわち副腎皮質ステロイド薬や免疫抑制薬による治療と病態に応じた対症療法を行う。活動性がなく、症状が固定したものでは対症療法に終始せざるをえない。ここでは疾患ごとに、自験例を基に、実際の治療法とその効果を示す。
Bibliography:S2-3
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.34.0.117.0