関節リウマチ患者におけるinfliximabに対する免疫反応とFcγ receptor IIIA遺伝子多型との関連
目的:Infliximab(INF)で治療した関節リウマチ(RA)患者で、有効性のみならず注射時反応やHACA産生など免疫応答に関連する因子を臨床的に検討し、Fcγ receptor IIIA(FcγRIIIA) 遺伝子多型の関与を明らかにすることを目的とした。対象と方法:対象は当科で2007年12月までにINF治療を受けたRA患者 約300例中96人。患者診療録から患者背景や臨床経過を調査し、同患者の血清中のHACAを測定した。また、同患者のFcγRIIIA158番目のアミノ酸であるバリン(V)、フェニルアラニン(F)の遺伝子多型をDNA-PCRとFACSで解析した。結果:FcγRIIIA遺...
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Published in | Nihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 120 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2008
The Japan Society for Clinical Immunology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-3296 |
DOI | 10.14906/jscisho.36.0.120.0 |
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Summary: | 目的:Infliximab(INF)で治療した関節リウマチ(RA)患者で、有効性のみならず注射時反応やHACA産生など免疫応答に関連する因子を臨床的に検討し、Fcγ receptor IIIA(FcγRIIIA) 遺伝子多型の関与を明らかにすることを目的とした。対象と方法:対象は当科で2007年12月までにINF治療を受けたRA患者 約300例中96人。患者診療録から患者背景や臨床経過を調査し、同患者の血清中のHACAを測定した。また、同患者のFcγRIIIA158番目のアミノ酸であるバリン(V)、フェニルアラニン(F)の遺伝子多型をDNA-PCRとFACSで解析した。結果:FcγRIIIA遺伝子多型では、DNA-PCR、FACS共にV/Vホモは認めず、F/Fホモ 45例、V/Fヘテロ 51例とほぼ同数であった。注射時反応は17例に認められた。注射時反応を規定する要因としてHACA、プレドニゾロン(PSL)投与量があった。遺伝子多型とHACAの関連をPSLの投与量で検討したところ、PSL 5mg/日以上投与されたF/F患者においてのみHACA産生率は低下していた。また皮疹はPSL 5mg/日未満で見られやすく5mg/日以上では出現しにくい反応であり、一方頭痛・嘔気とアナフィラクトイド反応はPSL投与量と無関係に見られる反応で、後者の頭痛、嘔気5例、アナフィラクトイド反応2例は全てV/Fであり、かつHACA陽性であった。結論:注射時反応のうち、頭痛、嘔気、アナフィラクトイド反応がFcγ遺伝子多型158V/FかつHACA陽性の症例に選択的に生じていた。FcγRIIIAの遺伝子多型は特にステロイド投与下でのHACA産生にも影響し、それを介した注射時反応に関与する可能性が示唆された。 |
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Bibliography: | 2-05 |
ISSN: | 1880-3296 |
DOI: | 10.14906/jscisho.36.0.120.0 |