AIDS関連播種性Mycobacterium avium感染症の免疫病理分子機構の検討
【序論】AIDS関連Mycobacterium avium(M.avium)感染症は、経口感染後、リンパ行性に播種を引き起こすことが考えられている。しかし、播種に至る免疫学的な説明は十分でなく、組織学的な検討は少ない。よって我々はM.aviumによる播種性感染の病態を免疫病理学的に検討した。【材料と方法】AIDS関連播種性M.avium感染症と診断された5例の剖検材料を用いて感染病巣でのリンパ球サブセットを免疫組織化学反応によって解析を行った。【結果】病巣は、腸粘膜、腹腔内リンパ節を中心に認め、その組織像は炎症細胞浸潤に乏しい泡沫状組織球の集族像を呈した。感染病巣では、CD4+細胞やCD56+...
Saved in:
Published in | Nihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 37; p. 150 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2009
The Japan Society for Clinical Immunology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-3296 |
DOI | 10.14906/jscisho.37.0.150.0 |
Cover
Summary: | 【序論】AIDS関連Mycobacterium avium(M.avium)感染症は、経口感染後、リンパ行性に播種を引き起こすことが考えられている。しかし、播種に至る免疫学的な説明は十分でなく、組織学的な検討は少ない。よって我々はM.aviumによる播種性感染の病態を免疫病理学的に検討した。【材料と方法】AIDS関連播種性M.avium感染症と診断された5例の剖検材料を用いて感染病巣でのリンパ球サブセットを免疫組織化学反応によって解析を行った。【結果】病巣は、腸粘膜、腹腔内リンパ節を中心に認め、その組織像は炎症細胞浸潤に乏しい泡沫状組織球の集族像を呈した。感染病巣では、CD4+細胞やCD56+(NK)細胞の減少、T-bet(Th1)に比べGATA-3(Th2)の有意な発現を認めた。またFoxP3やSOCS3の発現増加が認められた。【考察】生体の抗酸菌に対する感染制御にとって細胞性免疫機能は重要である。今回の結果よりHIV感染では腸粘膜でのCD4+細胞やNK細胞の減少、機能不全があり、結果として菌の粘膜下への感染を容易にすることが考えられた。また制御性T細胞(FoxP3)やSTAT4活性抑制因子(SOCS3)の増加はIL-12/IFN-γ産生が抑えられ、結果として菌の増殖、肉芽腫の形成不全に至り、播種が成立すると考えられた。 |
---|---|
Bibliography: | 2-25 |
ISSN: | 1880-3296 |
DOI: | 10.14906/jscisho.37.0.150.0 |