MRIによる腎動態機能検査の研究
MRI 造影剤 (Gadolinium-DTPA) を用い腎の機能を測定する新しい腎動態機能検査について研究を行った. 成熟家兎を用い, 疾患モデル (水腎症, 腎動脈狭窄) を作成し, Gadolinium-DTPA 0.05mmol/kgを静注し, 常伝導型MRI 0.1 Tesla (旭化成, MK-J) にて経時的に (5分毎) 腎の縦緩和時間を測定した. その逆数である縦緩和率を皮質, 髄質別にプロットし, MRIレノグラムともいえる曲線を作成した. 投与前の腎の各部位における縦緩和時間は, 正常対照腎では皮質より髄質が長く, 実験的水腎症では皮質髄質とも水腎の進行とともに延長する傾...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 3; pp. 413 - 422 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1988
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Summary: | MRI 造影剤 (Gadolinium-DTPA) を用い腎の機能を測定する新しい腎動態機能検査について研究を行った. 成熟家兎を用い, 疾患モデル (水腎症, 腎動脈狭窄) を作成し, Gadolinium-DTPA 0.05mmol/kgを静注し, 常伝導型MRI 0.1 Tesla (旭化成, MK-J) にて経時的に (5分毎) 腎の縦緩和時間を測定した. その逆数である縦緩和率を皮質, 髄質別にプロットし, MRIレノグラムともいえる曲線を作成した. 投与前の腎の各部位における縦緩和時間は, 正常対照腎では皮質より髄質が長く, 実験的水腎症では皮質髄質とも水腎の進行とともに延長する傾向が見られた. 腎動脈狭窄では皮質髄質とも短縮した. MRI レノグラムでは正常例ではピーク時間は投与初回測定時 (約2分後) で, 半減期は皮質30分, 髄質40分であった. 縦緩和率変化値 (ピーク値一投与前の縦緩和率) は水腎症では, 手術直後は正常側に比べて高値を示したが, 作成後24時間以後は低下し, 水腎による実質障害に対して敏感に反応した. 腎動脈狭窄では腎血流量が減少し手術側からの造影剤の排出が低下したため, 縦緩和率変化値は患側で極端に低下した. 以上よりMRIは腎の断面における局所の機能動態を把握でき, さらに将来MRIレノグラムの数理解析により腎血流量や糸球体機能, 尿細管機能を類型的に把握できる可能性が示唆された. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.3_413 |