神経内科教育の実態と課題:大学院

日本神経学会卒前・初期臨床研修教育小委員会では,日本の神経内科における大学院教育の現状を明らかにすべく,医科大学・医学部を対象として平成24年度末に最近4年間の動向をアンケート調査した.その結果,平成21年度から平成24年度にかけての大学院進学者数は,1大学平均1.24人から1.67人へと漸増傾向で,入局者の半数以上が大学院に進学しており,大学院進学者の比率は増加傾向にあった.大学院生は,主として入局した教室において多様な研究手法をもちいて,主たる神経疾患の研究に取り組んでいることが示された.課題として,①平成21年度から平成24年度にかけての大学神経内科の入局者数は,1大学平均2.29人から...

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 4; pp. 349 - 358
Main Authors 吉良, 潤一, 大八木, 保政, 谷脇, 考恭, 犬塚, 貴, 吉井, 文均, 青木, 正志, 天野, 隆弘, 豊島, 至, 福武, 敏夫, 橋本, 洋一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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Summary:日本神経学会卒前・初期臨床研修教育小委員会では,日本の神経内科における大学院教育の現状を明らかにすべく,医科大学・医学部を対象として平成24年度末に最近4年間の動向をアンケート調査した.その結果,平成21年度から平成24年度にかけての大学院進学者数は,1大学平均1.24人から1.67人へと漸増傾向で,入局者の半数以上が大学院に進学しており,大学院進学者の比率は増加傾向にあった.大学院生は,主として入局した教室において多様な研究手法をもちいて,主たる神経疾患の研究に取り組んでいることが示された.課題として,①平成21年度から平成24年度にかけての大学神経内科の入局者数は,1大学平均2.29人から1.96人へと漸減傾向にあること,②大学院の1,2年次は診療に従事している院生が多く,そのうえ大学院病院などから支給される給与は不十分で,奨学金をえる機会も少ないため,アルバイトに時間を割かざるをえない状況にあり,必ずしも十分な期間,研究に打ち込めていないこと,③研究場所が入局した教室であることが大部分で,基礎医学分野での学習機会が乏しいこと,④大学院修了後は,過半数は当該医局で何らかの形で研究を継続しているものの,国外・国内留学の機会などさらなる研究発展の機会が少ないことが明らかになった.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.349