脳梗塞の急性期治療中に心タンポナーデをきたした1例

症例は59歳男性である.肺癌で化学療法,放射線療法中であった.左下肢の脱力が突発し当科を受診した.MRIでは右前大脳動脈(anterior cerebral artery; ACA)領域に急性期梗塞巣が多発していたが,MRAにて右ACAの描出は良好だった.アスピリン,ヘパリンとエダラボンの投与をおこなった.4日目に呼吸苦が悪化し,胸部CTにて著明な心囊液貯留をみとめた.心タンポナーデと診断して緊急心囊ドレナージをおこない,呼吸状態は劇的に改善した.心囊液は血性で組織診にて肺癌の心膜浸潤による心タンポナーデと診断した.6日目の3D-CTAにて右ACAに動脈解離の所見をみとめた.脳梗塞急性期治療の...

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 3; pp. 218 - 222
Main Authors 永沢, 光, 小野, 洋也, 田中, 英智, 山川, 達志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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Summary:症例は59歳男性である.肺癌で化学療法,放射線療法中であった.左下肢の脱力が突発し当科を受診した.MRIでは右前大脳動脈(anterior cerebral artery; ACA)領域に急性期梗塞巣が多発していたが,MRAにて右ACAの描出は良好だった.アスピリン,ヘパリンとエダラボンの投与をおこなった.4日目に呼吸苦が悪化し,胸部CTにて著明な心囊液貯留をみとめた.心タンポナーデと診断して緊急心囊ドレナージをおこない,呼吸状態は劇的に改善した.心囊液は血性で組織診にて肺癌の心膜浸潤による心タンポナーデと診断した.6日目の3D-CTAにて右ACAに動脈解離の所見をみとめた.脳梗塞急性期治療のまれな合併症として心タンポナーデがおこりうることを認識する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.218