胆石内ムチンと体外衝撃波による胆石破砕性の関連について

胆石の体外衝撃波による破砕効果が胆石種類によって異なることを, 胆石内ムチンの含有量と分布状態の相違から検討した. 胆石切片をPAS-Alcian Blue (pH2.5) 染色すると, ムチンの網目構造が観察される. その分布は混合石が散在性で, ビリルビンカルシウム石 (ビ石) は層状構造の間隙を埋めるように密に分布していた. また, ムチン含有量をHexosamineを目安に比較すると黒色石は純コレステロール石 (純コ石) の約10倍, ビ石が約20倍の高値であった.in vitroで非石灰化胆石の衝撃波照射による破砕片の大きさと数の度数分布は, 純コ石, 混合石は5mm以下の破砕片に粉...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 9; no. 3; pp. 218 - 223
Main Authors 森安, 章人, 北山, 修, 伊勢, 秀雄, 平間, 義之, 本多, 博, 内藤, 剛, 太田, 良雄, 納谷, 一郎太, 鈴木, 範美, 松野, 正紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1995
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:胆石の体外衝撃波による破砕効果が胆石種類によって異なることを, 胆石内ムチンの含有量と分布状態の相違から検討した. 胆石切片をPAS-Alcian Blue (pH2.5) 染色すると, ムチンの網目構造が観察される. その分布は混合石が散在性で, ビリルビンカルシウム石 (ビ石) は層状構造の間隙を埋めるように密に分布していた. また, ムチン含有量をHexosamineを目安に比較すると黒色石は純コレステロール石 (純コ石) の約10倍, ビ石が約20倍の高値であった.in vitroで非石灰化胆石の衝撃波照射による破砕片の大きさと数の度数分布は, 純コ石, 混合石は5mm以下の破砕片に粉砕されたのに対し, ビ石, 黒色石は大きな破砕片を残すような壊れ方をした. すなわち, 胆石内ムチンの豊富なビ石, 黒色石は破砕されにくく, 大きな破砕片を残す結果となった. これは胆石内ムチンの網目構造が衝撃波の引っ張り力に抵抗するものと考えられた. したがって胆石内ムチンの分布と含有量はESWLに対する破砕性を規定する重要な因子の一つであると推察された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.9.3_218