胆嚢癌におけるestrogen receptorの発現と遺伝子異常
胆嚢癌におけるestrogen receptor(ER)の蛋白発現およびERα遺伝子変異の有無を検討し,臨床病理学的に検討した.ER蛋白の発現は免疫組織染色を用い,ERα遺伝子変異の検索はnested PCRで増幅した後SSCP法にて行った.ER蛋白の陽性率は胆嚢癌30例中8例(26.7%),胆管癌29例中1例(3.4%)で非癌合流異常23例と胆石症3例および新生児3例はすべて陰性であった.また,ERα遺伝子変異率は胆嚢癌20例中5例(25%),非癌合流異常13例中1例(7.7%),胆嚢結石3例中1例(33%)であった.ER蛋白の発現およびERα遺伝子変異と胆嚢癌における組織型,深達度,Sta...
Saved in:
Published in | 胆道 Vol. 14; no. 1; pp. 51 - 58 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本胆道学会
2000
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0914-0077 1883-6879 |
DOI | 10.11210/tando1987.14.1_51 |
Cover
Summary: | 胆嚢癌におけるestrogen receptor(ER)の蛋白発現およびERα遺伝子変異の有無を検討し,臨床病理学的に検討した.ER蛋白の発現は免疫組織染色を用い,ERα遺伝子変異の検索はnested PCRで増幅した後SSCP法にて行った.ER蛋白の陽性率は胆嚢癌30例中8例(26.7%),胆管癌29例中1例(3.4%)で非癌合流異常23例と胆石症3例および新生児3例はすべて陰性であった.また,ERα遺伝子変異率は胆嚢癌20例中5例(25%),非癌合流異常13例中1例(7.7%),胆嚢結石3例中1例(33%)であった.ER蛋白の発現およびERα遺伝子変異と胆嚢癌における組織型,深達度,Stageとに相関は認められなかったが,予後はER蛋白陽性例の方が陰性例に比して有意に(p<0.05)不良であった.以上より,胆嚢癌においては発癌のinitiationがERの発現に先行しており,ERはホルモン依存性癌同様に,プロモーターとして癌の増殖を促進している可能性が示唆された. |
---|---|
ISSN: | 0914-0077 1883-6879 |
DOI: | 10.11210/tando1987.14.1_51 |