虚血性脳血管障害におけるaspirin投与法の検討

一過性脳虚血発作(TIA)を始め虚血性脳血管障害にaspirin使用が盛んであるが,大量投与ではprostacydin(PGI2)産生も抑制され,血栓予防の面から好ましくないとの報告もある.そこで我々は血小板凝集能値を指標にaspirinの至適最小投与量を検討した.対象は脳梗塞, TIA, RIND, lacunar stateの76例. aspirinの投与法は660mg連日, 330mg連日, 330mg隔日, 165mg隔日の4種.血小板凝集能は2μg/ml前collagen凝集および1.25μM/mlADP凝集を測定した.凝集抑制は全投与法で投与前に比し有意であつたが,投与法相互の有意...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 72; no. 11; pp. 1547 - 1552
Main Authors 芳賀, 徹, 鈴木, 啓二, 水野, 美邦, 新島, 純子, 吉田, 充男, 安達, 真二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1983
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.72.1547

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Summary:一過性脳虚血発作(TIA)を始め虚血性脳血管障害にaspirin使用が盛んであるが,大量投与ではprostacydin(PGI2)産生も抑制され,血栓予防の面から好ましくないとの報告もある.そこで我々は血小板凝集能値を指標にaspirinの至適最小投与量を検討した.対象は脳梗塞, TIA, RIND, lacunar stateの76例. aspirinの投与法は660mg連日, 330mg連日, 330mg隔日, 165mg隔日の4種.血小板凝集能は2μg/ml前collagen凝集および1.25μM/mlADP凝集を測定した.凝集抑制は全投与法で投与前に比し有意であつたが,投与法相互の有意差はなかつた.凝集能値が最低を示した時の投与法は660mg連日の例が少なく,必ずしも用量が多い程凝集能が低くなるわけではなく,むしろ少ない方が低い値を示している例もあり,また4種の投与法間で差がない例もあつた.隔日投与と連日投与を比較すると,前者で凝集能の低い例がやや多かつた.再発はTIA, RINDの34例中4例,脳梗塞, lacunar stateの42例中7例でみられた.以上より凝集能を指標にする限り連日330mg以下の投与で充分抑制され,さらに多くは隔日330mg又は165mgの投与で充分であつたが,症例毎に凝集能を測定して投与法を決める事が望ましい.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.72.1547