珪肺症を合併した全身性強皮症の1例

78歳男性。初診時、頭部、顔面、頸部、上胸部、上背部、腰部に脱色素斑を伴う暗紅色~紫褐色斑を認めた。また上胸部、上背部、腰背部には脱色素斑を伴う褐色色素沈着を認め、同部の皮膚は硬化し、つまみ上げが困難であった。また、前腕~手背は全体に腫脹し暗紫紅色斑を伴う浮腫性硬化を認めた。血液検査にて抗核抗体 (ELISA) 85.6 (正常 20未満)と高値で、各種自己抗体を検査したところ抗トポイソメラーゼ_I_抗体(ELISA) 500 u/ml以上と陽性。胸部の皮膚硬化部は病理組織学的に真皮全層にわたる膠原線維の増生と、少数の炎症細胞浸潤を認め、強皮症に合致する組織所見であった。胸部CT検査にて、両側...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 37; p. 155
Main Authors 藤本, 亘, 林, 宏明, 熊谷, 直子, 大槻, 剛己, 前田, 恵, 西村, 泰光, 内海, 大介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2009
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.37.0.155.0

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Summary:78歳男性。初診時、頭部、顔面、頸部、上胸部、上背部、腰部に脱色素斑を伴う暗紅色~紫褐色斑を認めた。また上胸部、上背部、腰背部には脱色素斑を伴う褐色色素沈着を認め、同部の皮膚は硬化し、つまみ上げが困難であった。また、前腕~手背は全体に腫脹し暗紫紅色斑を伴う浮腫性硬化を認めた。血液検査にて抗核抗体 (ELISA) 85.6 (正常 20未満)と高値で、各種自己抗体を検査したところ抗トポイソメラーゼ_I_抗体(ELISA) 500 u/ml以上と陽性。胸部の皮膚硬化部は病理組織学的に真皮全層にわたる膠原線維の増生と、少数の炎症細胞浸潤を認め、強皮症に合致する組織所見であった。胸部CT検査にて、両側下葉背側には間質性肺炎の所見を認め膠原病に合致するものであったが、縦隔の腫大したリンパ節の石灰化や肺野の小粒状影も存在したため珪肺症の合併が疑われた。CTの結果をうけて職業歴の問診を再度おこなったところ、50歳から約20年間、瓦を切断、加工して屋根を葺く仕事に従事していたことが判明した。以上より珪肺症を合併した全身性強皮症と診断した。プレドニン10mg/day 内服により皮膚症状の改善を認めたが、皮膚硬化の強かった上胸部ではまだ硬化が残存している。珪肺合併強皮症例の本邦報告例をまとめると、男性に多く、抗トポイソメラーゼ_I_抗体陽性例が多数であり海外の報告と同様であった。
Bibliography:2-30
ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.37.0.155.0