作成後20年以上経過した虫垂瘻から発生した虫垂癌の1例
84歳,男性.22年前に胃癌に対して胃亜全摘術を施行され,術後腸閉塞を繰り返し,21年前に癒着剥離術および小腸バイパス,虫垂瘻造設術を施行された.経虫垂瘻的に腸管減圧を行われたが,腸閉塞の改善後に虫垂瘻は自然閉鎖していた.2年前より右下腹部の発赤,排膿を認め,近医で切開排膿処置を受けていたが改善なく,次第に同部に腫瘍を形成し,当院へ紹介された.右下腹部に長径4cmの腫瘍を認め,造影CT検査で右下腹部に腹壁から盲腸まで連続する腫瘍を認めた.同部の生検組織診断から高分化腺癌の診断を得た.盲腸癌の腹壁浸潤と診断し,腫瘍周囲腹壁を含めた回盲部切除術を施行した.肉眼所見から腹壁内に虫垂瘻遺残虫垂を認め,...
Saved in:
Published in | 日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 73; no. 1; pp. 37 - 41 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本大腸肛門病学会
2020
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0047-1801 1882-9619 |
DOI | 10.3862/jcoloproctology.73.37 |
Cover
Summary: | 84歳,男性.22年前に胃癌に対して胃亜全摘術を施行され,術後腸閉塞を繰り返し,21年前に癒着剥離術および小腸バイパス,虫垂瘻造設術を施行された.経虫垂瘻的に腸管減圧を行われたが,腸閉塞の改善後に虫垂瘻は自然閉鎖していた.2年前より右下腹部の発赤,排膿を認め,近医で切開排膿処置を受けていたが改善なく,次第に同部に腫瘍を形成し,当院へ紹介された.右下腹部に長径4cmの腫瘍を認め,造影CT検査で右下腹部に腹壁から盲腸まで連続する腫瘍を認めた.同部の生検組織診断から高分化腺癌の診断を得た.盲腸癌の腹壁浸潤と診断し,腫瘍周囲腹壁を含めた回盲部切除術を施行した.肉眼所見から腹壁内に虫垂瘻遺残虫垂を認め,組織学的には虫垂粘膜上皮の癌化を認めた.病理診断よりV,pT4b(皮膚),N3,M0,StageIIIcと診断した.虫垂瘻遺残虫垂から発生した虫垂癌の稀な1例を経験したので文献的な考察を加え,報告する. |
---|---|
ISSN: | 0047-1801 1882-9619 |
DOI: | 10.3862/jcoloproctology.73.37 |