挙上腸管の虚血性変化に伴ったストーマ周囲肉芽形成に対し,局所皮弁形成にて改善しえた1例

症例は76歳女性.直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行.術後経過観察中に腹膜外経路で挙上したS状結腸に虚血性変化が加わり,ストーマ周囲炎を併発した.保存的加療で軽快したが,治癒経過でストーマの狭窄と粘膜皮膚接合部に全周性の肉芽が形成された.排便可能であるがパウチ貼付が困難となったため,術後約1年目に局所麻酔下に全周性に肉芽切除と皮弁形成術施行した.形成後は,パウチ貼付が容易となった.ストーマ造設において,特に肥満患者では挙上経路を考慮する必要がある一方で,装具貼付困難となるような肉芽形成に対しては,局所皮弁手技での形成術は容易であり,患者に与える侵襲も少ない.簡便に施行できる形成外科的手技は,...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 68; no. 2; pp. 97 - 102
Main Authors 中村, 信治, 川崎, 敬次郎, 藤井, 久男, 内本, 和晃, 尾原, 伸作, 中川, 正, 錦織, 直人, 中本, 貴透, 小山, 文一, 井上, 隆, 中島, 祥介, 植田, 剛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2015
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.68.97

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Summary:症例は76歳女性.直腸癌に対し腹会陰式直腸切断術を施行.術後経過観察中に腹膜外経路で挙上したS状結腸に虚血性変化が加わり,ストーマ周囲炎を併発した.保存的加療で軽快したが,治癒経過でストーマの狭窄と粘膜皮膚接合部に全周性の肉芽が形成された.排便可能であるがパウチ貼付が困難となったため,術後約1年目に局所麻酔下に全周性に肉芽切除と皮弁形成術施行した.形成後は,パウチ貼付が容易となった.ストーマ造設において,特に肥満患者では挙上経路を考慮する必要がある一方で,装具貼付困難となるような肉芽形成に対しては,局所皮弁手技での形成術は容易であり,患者に与える侵襲も少ない.簡便に施行できる形成外科的手技は,ストーマ周囲に対する形成にても有用な手術手技の1つと考える.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.68.97