経静脈的および経動脈的に血行再建術をおこなった心臓粘液腫による脳塞栓症の1例

症例は48歳女性である.意識障害,四肢麻痺をきたし救急搬送された.MRAで脳底動脈(BA)閉塞,右中大脳動脈(MCA)分枝閉塞,心エコーで左房内に可動性腫瘤をみとめ,心臓粘液腫による脳塞栓症と診断した.経静脈的血栓溶解療法をおこなったが改善せず,血管内治療に移行した.BA閉塞はくりかえしおこなった造影で自然再開通がえられた.一方,右MCA閉塞に対しては血行再建術を試みたが,再開通はえられなかった.心臓粘液腫による脳塞栓症に対する急性期血行再建の効果は明らかでないが,脳転移や脳動脈瘤を確認のうえ出血性合併症に注意しつつ,症例に応じ,経静脈的,経動脈的血行再建の選択,治療デバイスの選択を検討する必...

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Published in臨床神経学 Vol. 54; no. 6; pp. 502 - 506
Main Authors 神谷, 雄己, 市川, 博雄, 水間, 啓太, 清水, 裕樹, 板谷, 一宏, 河村, 満
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2014
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.54.502

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Summary:症例は48歳女性である.意識障害,四肢麻痺をきたし救急搬送された.MRAで脳底動脈(BA)閉塞,右中大脳動脈(MCA)分枝閉塞,心エコーで左房内に可動性腫瘤をみとめ,心臓粘液腫による脳塞栓症と診断した.経静脈的血栓溶解療法をおこなったが改善せず,血管内治療に移行した.BA閉塞はくりかえしおこなった造影で自然再開通がえられた.一方,右MCA閉塞に対しては血行再建術を試みたが,再開通はえられなかった.心臓粘液腫による脳塞栓症に対する急性期血行再建の効果は明らかでないが,脳転移や脳動脈瘤を確認のうえ出血性合併症に注意しつつ,症例に応じ,経静脈的,経動脈的血行再建の選択,治療デバイスの選択を検討する必要がある.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.54.502