大腸悪性狭窄に対する緩和目的の大腸ステント留置症例の検討

大腸悪性狭窄によるイレウスに対して,従来Hartmann手術や人工肛門造設術などの緊急手術が行われることが多かった.近年,経肛門イレウス管留置や大腸ステントが導入され,治療戦略が変わりつつある.今回われわれは大腸癌イレウスおよび他臓器癌の播種による大腸狭窄に対して緩和療法として8例の大腸ステント留置症例を経験した.処置中の偶発症はなく,留置後に合併症として閉塞2例と穿孔1例,経口摂取不能例1例を認めた.その他は生存期間中に特記すべき異常を認めなかった.術前一時的留置(Bridge to Surgery-BTS)に関しては否定的な報告も散見されるなか,緩和目的の大腸ステント留置は安全性も高く,人...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 2; pp. 75 - 80
Main Authors 三浦, 康誠, 白畑, 敦, 松本, 匡史, 石田, 康男
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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Summary:大腸悪性狭窄によるイレウスに対して,従来Hartmann手術や人工肛門造設術などの緊急手術が行われることが多かった.近年,経肛門イレウス管留置や大腸ステントが導入され,治療戦略が変わりつつある.今回われわれは大腸癌イレウスおよび他臓器癌の播種による大腸狭窄に対して緩和療法として8例の大腸ステント留置症例を経験した.処置中の偶発症はなく,留置後に合併症として閉塞2例と穿孔1例,経口摂取不能例1例を認めた.その他は生存期間中に特記すべき異常を認めなかった.術前一時的留置(Bridge to Surgery-BTS)に関しては否定的な報告も散見されるなか,緩和目的の大腸ステント留置は安全性も高く,人工肛門造設を含む姑息的な手術を回避でき,患者のQOLの向上が期待される有用な治療法であると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.75