胆嚢摘出術例における術後肝機能評価からみたUDCA術前投与の意義

胆嚢摘出術前の胆嚢結石6例のうち,30例にUDCA300mg/dayを術前7日以上投与し,非投与群30例と比較した.その結果, 1)総胆汁酸とリン脂質濃度はUDCA投与群で,コレステロール濃度は非投与群で高い傾向があったが,有意差はなかった. 2)術中の末梢血,門脈血,胆嚢胆汁中の総胆汁酸濃度(TBA)は投与群で高値を示し,UDCA濃度比(UDCA/TBA)は,それぞれ50.8%,35.7%,31.9%と,非投与群の5%以下に対して有意に高値であった. 3)術後血清肝機能検査値は, GOT,GPT,ALPでUDCA投与群で有意な低下を認めた.以上より術前UDCA投与は,胆汁中及び血中の胆汁酸組...

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Published in胆道 Vol. 5; no. 4; pp. 441 - 447
Main Authors 内山, 和久, 谷村, 弘, 石本, 喜和男, 佐々木, 政一, 川口, 富司, 馬庭, 芳朗, 落合, 実, 大西, 博信, 坂田, 好史, 一宮, 源太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 1991
Subjects
UDCA
胆嚢摘出例
術後肝機能
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Summary:胆嚢摘出術前の胆嚢結石6例のうち,30例にUDCA300mg/dayを術前7日以上投与し,非投与群30例と比較した.その結果, 1)総胆汁酸とリン脂質濃度はUDCA投与群で,コレステロール濃度は非投与群で高い傾向があったが,有意差はなかった. 2)術中の末梢血,門脈血,胆嚢胆汁中の総胆汁酸濃度(TBA)は投与群で高値を示し,UDCA濃度比(UDCA/TBA)は,それぞれ50.8%,35.7%,31.9%と,非投与群の5%以下に対して有意に高値であった. 3)術後血清肝機能検査値は, GOT,GPT,ALPでUDCA投与群で有意な低下を認めた.以上より術前UDCA投与は,胆汁中及び血中の胆汁酸組成を変換し,術後肝機能検査値に対して好影響を与えるものと考えられた.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando1987.5.4_441