低温性抗体保有患者への輸血について

日常の輸血検査で検出される不規則抗体のうち, 低温性抗体(抗Le^a , Le^b , M, N, P_1 など)が過半数を占める. これらの抗体について輸血の安全性を確認し, 取り扱い方法をマニュアル化することは, 輸血業務の円滑化を大きく左右するものと思われる. 本邦での低温性抗体における輸血時の対応を, 全国的なアンケート調査1)でみると, 室温以下で反応する抗体には対応抗原陰性血液の選択を行わない施設が37%に対し, 全ての抗体に適合する血液を選択する施設は44%と高く混乱がみられる. これに対し1989年6月, 厚生省健康政策局より「輸血療法の適正化に関する検討会」の報告書2)に基づ...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 36; no. 5; pp. 593 - 597
Main Authors 大久保, 進, 石田, 萠子, 安永, 幸二郎, 岡山, 桂子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 1990
日本輸血学会
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ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.36.593

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Summary:日常の輸血検査で検出される不規則抗体のうち, 低温性抗体(抗Le^a , Le^b , M, N, P_1 など)が過半数を占める. これらの抗体について輸血の安全性を確認し, 取り扱い方法をマニュアル化することは, 輸血業務の円滑化を大きく左右するものと思われる. 本邦での低温性抗体における輸血時の対応を, 全国的なアンケート調査1)でみると, 室温以下で反応する抗体には対応抗原陰性血液の選択を行わない施設が37%に対し, 全ての抗体に適合する血液を選択する施設は44%と高く混乱がみられる. これに対し1989年6月, 厚生省健康政策局より「輸血療法の適正化に関する検討会」の報告書2)に基づくガイドラインが提示され, 今後これによる対応がなされるものと思われる. しかし, 低温性抗体保有患者の輸血副作用に関する本邦での報告例は, 散見するに過ぎない3)4). 当院輸血部では低温性抗体保有患者の輸血に一定の基準を設け, 院内輸血会議で臨床の承認を得て実施しているが, より安全な輸血と業務の円滑化を図る目的で輸血後の追跡調査を行った. また, 日常行う抗体検査で37℃でも反応する抗Le^b 抗体の全てに, 同型血液の選択を必要とするか否かについて, 抗体の反応態度より検討した.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.36.593