SCA8遺伝子のCTA/CTGリピート数増大をみとめた若年性パーキンソニズムの1例

症例は31歳男性である.2年前より右下肢のふるえが出現,1年前よりふるえが両下肢に拡大した.安静時主体の振戦がめだち,右優位のパーキンソニズムを呈していた.遺伝子検査で,SCA8遺伝子のCTA/CTGリピート伸長をみとめた.本例はSCA8の典型的な症状である失調はみとめていなかった.パーキンソンニズムに対しL-DOPAの投与をおこなったところ,症状の明らかな改善をみとめた.SCA8リピートの異常伸長は健常者およびその他の疾患でも報告されているが,本例は従来の報告例よりもリピート数が多く,病的意義があると考えられた.本例でのひき続きの臨床症状の経過観察と,さらなる症例の集積が必要である....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in臨床神経学 Vol. 53; no. 4; pp. 278 - 282
Main Authors 宮脇, 統子, 関口, 兼司, 安井, 直子, 上田, 健博, 苅田, 典生, 戸田, 達史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2013
Subjects
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は31歳男性である.2年前より右下肢のふるえが出現,1年前よりふるえが両下肢に拡大した.安静時主体の振戦がめだち,右優位のパーキンソニズムを呈していた.遺伝子検査で,SCA8遺伝子のCTA/CTGリピート伸長をみとめた.本例はSCA8の典型的な症状である失調はみとめていなかった.パーキンソンニズムに対しL-DOPAの投与をおこなったところ,症状の明らかな改善をみとめた.SCA8リピートの異常伸長は健常者およびその他の疾患でも報告されているが,本例は従来の報告例よりもリピート数が多く,病的意義があると考えられた.本例でのひき続きの臨床症状の経過観察と,さらなる症例の集積が必要である.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.53.278