組織球貪食性脂肪織炎とマクロファージ活性化症候群を合併した全身性エリテマトーデスの一例

症例は37歳男性。16歳時に蝶形紅斑、発熱、多関節炎にて全身性エリテマトーデス(SLE)を発症。27歳時に円板状ループスが出現。プレドニゾロン(PSL)25mg/日にて治療を開始し、その後PSL7mg/日にて維持していた。2007年7月(36歳時)、38度の発熱、頸部リンパ節腫張、背部に圧痛を伴う環状の隆起性紅斑が出現、SLEの再燃と考えPSL15mg/日に増量するも改善せず、血清肝逸脱酵素・フェリチン高値も認めた。皮疹の生検では、脂肪織へのマクロファージ主体の単核球浸潤と血球貪食像を認め、組織球貪食性脂肪織炎(CHP)に合致する所見であった。また血小板減少、骨髄穿刺における血球貪食像などから...

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Published inNihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 36; p. 114
Main Authors 溝口, 史高, 上阪, 等, 宮坂, 信之, 長谷川, 久紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床免疫学会 2008
The Japan Society for Clinical Immunology
Subjects
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ISSN1880-3296
DOI10.14906/jscisho.36.0.114.0

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Summary:症例は37歳男性。16歳時に蝶形紅斑、発熱、多関節炎にて全身性エリテマトーデス(SLE)を発症。27歳時に円板状ループスが出現。プレドニゾロン(PSL)25mg/日にて治療を開始し、その後PSL7mg/日にて維持していた。2007年7月(36歳時)、38度の発熱、頸部リンパ節腫張、背部に圧痛を伴う環状の隆起性紅斑が出現、SLEの再燃と考えPSL15mg/日に増量するも改善せず、血清肝逸脱酵素・フェリチン高値も認めた。皮疹の生検では、脂肪織へのマクロファージ主体の単核球浸潤と血球貪食像を認め、組織球貪食性脂肪織炎(CHP)に合致する所見であった。また血小板減少、骨髄穿刺における血球貪食像などから、マクロファージ活性化症候群(MAS)の合併と診断した。故に、PSL65mg/日を経口投与したところ、皮膚病変の改善、血液検査所見の改善を認めたが、PSL減量(35mg/日)に伴い、肝逸脱酵素及びフェリチン値の異常上昇を認めた。MASの再燃と考え、メチルプレドニゾロンパルス療法とシクロスポリンの併用を行ったところ、その後病勢は安定し、寛解に導入しえた。 CHPは血球を貪食した組織球の浸潤による脂肪織炎であり、MASに至ることにより致死的となりうる。SLEにCHPが合併した症例は稀であるが、脂肪織炎に発熱、肝障害、フェリチン高値、血球減少を伴う場合にはCHP/MASを念頭に置く必要がある。
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ISSN:1880-3296
DOI:10.14906/jscisho.36.0.114.0