腹腔鏡下高位前方切除術後早期に壊死性筋膜炎を発症した1例

腹腔鏡下高位前方切除後早期に壊死性筋膜炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は89歳女性.下血精査にて直腸癌と診断され,腹腔鏡下高位前方切除術を受けた.病期分類はstage IIIa(T3,N1,H0,P0,M0)であった.術後翌日に白血球が1,500/μlに低下し,術後2日目に施行したCT検査にて左下腹部のドレーン挿入孔を中心に皮下の広汎な気腫を認めた.その後呼吸状態の悪化,血圧の低下を認め,気管内挿管を行い,術後3日目に緊急開腹術を施行した.腹腔内は縫合不全などの異状は認められず.皮下膿瘍が疑われたドレーン刺入部付近の皮膚を切開すると悪臭を伴う壊死組織あり.壊死性筋膜炎と診断し,可及...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 69; no. 1; pp. 15 - 19
Main Authors 石田, 康男, 三浦, 康誠, 白畑, 敦, 松本, 匡史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 2016
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.69.15

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Summary:腹腔鏡下高位前方切除後早期に壊死性筋膜炎を合併した1例を経験したので報告する.症例は89歳女性.下血精査にて直腸癌と診断され,腹腔鏡下高位前方切除術を受けた.病期分類はstage IIIa(T3,N1,H0,P0,M0)であった.術後翌日に白血球が1,500/μlに低下し,術後2日目に施行したCT検査にて左下腹部のドレーン挿入孔を中心に皮下の広汎な気腫を認めた.その後呼吸状態の悪化,血圧の低下を認め,気管内挿管を行い,術後3日目に緊急開腹術を施行した.腹腔内は縫合不全などの異状は認められず.皮下膿瘍が疑われたドレーン刺入部付近の皮膚を切開すると悪臭を伴う壊死組織あり.壊死性筋膜炎と診断し,可及的にデブリードマン施行,壊死組織の細菌培養ではEnterococcus Faecalis,Morganella morganiiが検出された.術後集中治療と皮下洗浄および壊死組織のデブリードマンを続け,再手術後2ヵ月で転科となった.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.69.15