メトロニダゾール誘発性脳症の1例―画像の経時的変化

症例は66歳女性である.脳膿瘍で排膿術施行され,以後はメトロニダゾール2 g/日を投与された.30日目より嘔気出現し徐々に悪化,45日目に昏迷になった.意識変容,軽度の前庭障害と構音障害をみとめた.頭部MRIは脳梁膨大部,小脳歯状核,脳幹部下丘にDWIおよびFLAIRで高信号変化を両側対称性にみとめた.脳梁膨大部のapparent diffusion coefficient(ADC)は低下,MRSで乳酸のピーク上昇をみとめた.メトロニダゾール誘発性脳症と診断し,同薬剤を中止し,症状は改善し14日目に軽快退院した.小脳歯状核および脳幹病変は,血管障害性浮腫と思われ5~10日目には消失したが,脳梁...

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Published in臨床神経学 Vol. 55; no. 3; pp. 174 - 177
Main Authors 金谷, 雄平, 竹島, 慎一, 田中, 朗雄, 栗山, 勝, 吉本, 武史, 音成, 秀一郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本神経学会 2015
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ISSN0009-918X
1882-0654
DOI10.5692/clinicalneurol.55.174

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Summary:症例は66歳女性である.脳膿瘍で排膿術施行され,以後はメトロニダゾール2 g/日を投与された.30日目より嘔気出現し徐々に悪化,45日目に昏迷になった.意識変容,軽度の前庭障害と構音障害をみとめた.頭部MRIは脳梁膨大部,小脳歯状核,脳幹部下丘にDWIおよびFLAIRで高信号変化を両側対称性にみとめた.脳梁膨大部のapparent diffusion coefficient(ADC)は低下,MRSで乳酸のピーク上昇をみとめた.メトロニダゾール誘発性脳症と診断し,同薬剤を中止し,症状は改善し14日目に軽快退院した.小脳歯状核および脳幹病変は,血管障害性浮腫と思われ5~10日目には消失したが,脳梁膨大部病変は細胞毒性浮腫と思われ40日目まで残存した.
ISSN:0009-918X
1882-0654
DOI:10.5692/clinicalneurol.55.174